「白夜の月」

(三日月&月夜(白))

 

「……なんだか、ちょっと不思議」

 

「不思議……ですか?」

 

「守るべきものだったはずの三日月と、こうして肩を並べて戦えるっていうのが、さ」

 

「……ですね。私も、このような日が本当に訪れるとは思っていませんでした」

 

 

 

「……じゃ、そろそろやろっか?」

 

「ええ」

 

 

月夜(白)、三日月――背を合わせ、月明かりの下に立つ。

今宵は、月の光が煌々と注ぐ夜――

 

 

「……行くよ――!!」

 

月夜(白):猛然と地面を蹴り、標的へと襲い掛かる。

     爪で数閃、跳ね上げたその顔面を握って地面へと叩きつけ、

     その状態のまま、地面に標的の頭部を削るように疾走する――

     途中でぶつかった地面の凹凸に、跳ね上がる標的。

 

「重ねていきます!」

三日月:猫状態のまま超加速で標的へと突撃。

貫くようにして突き抜けたその後を追うようにして、

展開していた魔術が次々に炸裂・時間差を置いて標的を襲う。

 

「まだまだ!」

 

月夜(白):落下してきた標的の腹部を打ち抜くような――掌底。

     一瞬の停滞の後に、開放した妖力をその一点へと集中――

     螺旋を描くようなイメージと共に、爆発した衝撃が一気に標的を撃ち貫く。

 

 

「手は――緩めません!」

三日月:妖力開放。周囲に浸透させた妖力を操り――追撃。

次々に生まれ出る妖力の槍に串刺しにされ、昇ってきたその頂点から三日月の牙式牙突炸裂。

全ての槍を粉々に砕くようにして、標的を貫く衝撃が地面にクレーターを穿つ――

 

 

 

 

地面に激突した、標的に。

 

 

 

「……とどめ」

 

月夜(白):神力を開放――継承時間軸に干渉する術式を組み上げ。

その爪に、力を注ぎ。

 

 

 

「これで終わりです」

 

三日月:神力開放――その「蒼」の力を完全に解放し。

その爪に、力を注ぎ――

 

 

 

 

――二つの月が、重なる。

 

 

 

 

 

「白夜の月」

 

 

 

 

 

すれ違うように、交錯した二つの軌跡。

 

月夜(白)の引き裂いた『時間』と。

三日月の切り裂いた『空間』の傷が。

 

標的の中心で、交錯して――

 

 

 

 

白夜に月は輝かず、

 

月は月夜を偲び泣く。

 

 

 

夜は戻らぬと知りながら、

 

儚き白、時を彷徨う――

 

 

時の狭間、幾千の世を渡り――

 

月は夜と逢い見える。

 

 

褪せた月、輝きを取り戻し――再び、夜の空に浮かび――

 

 

「動き出した、時と共に」

 

 

「今宵も語ろう」

 

 

 

 

「月夜のおとぎばなしを」

 

 

 

 

重なった二つの月、生み出された白夜と、新たなる夜に。

 

標的を中心に、凄まじい爆発と閃光――跡形もなく、消失する――