別に、好戦的な性格で生まれてきたってワケじゃない。
喧嘩とか血を見るのはどっちかってと嫌いな方だ。





それはまだ、『双隻眼』も『姿なき死神』もいなかった頃の昔語り。




だってのに、どうしてオレはこんな重たい銃握って、血生臭いことをやってんだろうか。
考えたって、さっぱり答えは出てこねぇ。





彼ら二人だけが、ペネトレイターではない。




流れ流れて流されて、何時の間にやらこんな事になっちまったが。
時代が時代な手前、いまさら何言ったって仕方の無いことなんだろう。

オレ達の後に続くガキ達が、もちっとマシな世界で生きられるんなら。





歴史の中に埋もれた者達の一生から、紐解かれた。






――もう少し、頑張ったっていいのかも知んねぇ――






馬鹿な男達の、物語。




―― Croun & Crazy ――








「こちらが依頼の引き受け先と、依頼人の特徴となります」
「……で? 僕と組む予定の『ペネトレイター』は何処に――」
「きゃああああ!! 痴漢よおおおおおお!!」
「……今叫んでたの、明らかに……男の人じゃ」
「…………ちょっと待て。まさか『アレ』か? 『アレ』がそうなのか?」




  人間達が自らの尊厳をその手に勝ち取ってから、五年――
平穏と融和が生まれる一方で、少しづつ芽を現し始めた様々な犯罪行為。
世界各地にはまだ現体制を快く思わない連中が潜伏し、再び世を魔術師の元に戻さんと爪を研ぐ日々。




「わざわざあんな酔狂な事をしなくても、手っ取り早く叩きのめせばよかったろうに」
「イヤなんだよ、喧嘩するのが」
「『ペネトレイター』が平和主義か?」
「そう言われても困るんだがなぁ……だって、殴りゃオレの拳も痛いだろ?」




かつての英雄『ペネトレイター』達は、時代の求めるままに変革の時を迎える。
銃口を向ける先を、魔術師から犯罪者達へと変え。
その力で護るべきものを、己の尊厳から――他者の平穏へと移して。




「……で、グレネードランチャーはどうしたんだよ」
「ああ、持って来ていないが。重いし」
「なるほどな……って、は!? 何言ってんのお前!?」
「見取り図と照らし合わせたところ、距離は400というところだった。
 それぐらいなら問題ない。僕の腕なら“投げれば”届く」




後世の者達から見れば『緩やか』な、その時を生きる者達にとっては『激動』の。
やがては『今』へと至るまでの時代の中を駆け抜けた、二人の男。




「食料が底をつく。仕事が途絶える。給金が止まる。etc etc……。
どれもこれも滅多にある事じゃあない。ましてや幾つかが並行するなんて尚更だ。
そんなのは全部、想像の中の出来事。つまらないフィクションの世界。
目に見えてるもんだけが現実じゃない、そう思ってた。
覚めない夢でも見てるつもりだったんだ。いつの間にか、覚めちまってた。

などと、語ったところでどうしようもなく。
ィャー、ハッハッハ……ハハッ……ハァ……腹ぁ減ったなぁ……」




いい加減は『いい加減』、道化を称する『名も無き男ロスト・マイ・ネーム』。




「僕に対しての呼び名が『兄貴』ばかりなのは仕様か? 仕様なのか?
仕様じゃないよな? 仕様じゃないと誰か叫んでくれ。
はーダルルンベルルンダンドロルン。
……ドララァァァア!!

もうなんつーか、クールとか皮肉屋とか色々間違ったイメージもたれてるのが
いい加減ウンザリかつ嫌なんだああああああああああああああ!!」




『俺様貴様』を貫き通す、規格外人間の『拳銃使いガンスリンガー』。




「……で、君は依頼主の話を何処で聞いていたんだ」
「布団の中」
「ぶっちゃけ、寝てただろう」
「ばっ、違! ゴルゴムのスタンド攻撃を使う魔化魍のせいなんだって!!」




――馬鹿バカが二人でやってきた――




「……何でお前さんは、そう割り切れるかね」
「別に割り切ってる訳じゃない。
ただ、撃たなきゃどっちも死んでいた……それだけさ」
「…………そうかい」




――だがそのバカ、並じゃない――




「本当にビックリ人間だな君は」
「うるせえよ、このギャルゲ主人公が」








Episode“Penetrater” EX Series


「Croun & Crazy」









「だーから、オレは厄介事には首を突っ込みたくねぇんだっての」