あるふぇいるすとぉりぃ えぴそーど“ぺねとれいたぁ”
双隻眼の閑話休題

第二回 階位

トト :トトお姉さんと――
アトリ:アトリ助手(自称)の――
作者 :もういいから進行しろ。
トト :あら、存外ノリが悪いわね。
作者 :お前らの相手をまともにしてると疲れるんだよ……_| ̄|●|||
トト :はいはい……それじゃ気を取り直して進行しましょうか?
アトリ:ようやく、設定の公開が可能となったようだからな。
トト :今回はこの話で正式に発表された「階位」について、本編での情報整理や、補足しきれなかった所の説明をするってことみたいね。
アトリ:本編での魔術師を語る上で、欠かせん要素だからな。
トト :それじゃ……こほん。
階位は、魔術師の魔術の実力を基準にして定められた――特殊な身分制度なの。
数は全部で九つ。最下位の“9”から最上位“1”までの数字が当てはめられているわ。
この数字は、魔術という力のルーツである『根源的な何処か』――この言葉についても、後日説明するわね――と、
自分自身との「距離」を示している、と言われているわ。
つまり、数が若くなればなるほど、ルーツとの距離が近い――即ち、魔術師としての力があるという解釈ね。
アトリ:トトも言ったが、階位を定めるのはただ一つ――魔術師の実力という要素だけだ。
役所に行って申請するものでも、誰かが裁定するものでもない。……確か、感覚としては『判る』んだったか?
トト :多分に感覚的なものなんだけどね。判っちゃうのよ、向かい合うと。
「あ、この人の階位は○○だなー」っていう感じで、はっきりと。百発百中よ?
あ――でもね。他の作品と比べて、勘違いしやすい所が一つ。
本編でも解説できなかったし、ここできちんと補填しておかないとね?
アトリ:……?
トト :『階位』は、決して先天的な魔術の資質から判断されるものじゃないってこと。
生まれてきた魔術師は、誰一人例外なく――必ず“9”からスタートすることになるわ。
アトリ:しかし……魔術にもやはり、先天的な才覚というものが存在しているのだろう?
トト :それは、まあね。……でも、それが影響してくるのは、階位の向上のスピードや『限界』かしら。
それこそ、生まれてからとんとん拍子に階位が向上していく人もいれば、20年たっても階位の向上ができない人もいる。
全員が全員、“1”の高みに望めるわけでもないし……。
アトリ:他の技術におけ呑み込みの速さ等と同じ、ということか……。
トト :そういうこと。魔術はあくまで『技術』だから、最初から高い階位を持っているとするなら――
生まれた時から、魔術に関しての知識を備えているってことになってしまうもの。
それは、おかしいでしょう?
アトリ:確かに、自然発生下では考えづらいものがあるな……。
トト :まあ、だからこそ身分制にも採用されることになったんだけど……。
具体的に階位が上がることで、魔術師にとってメリットになることは、社会的地位の向上と――もう一つ。
階位が一つ上がると、それまで識る事の出来なかった魔術が――構成を把握しきれなかった魔術が、把握できるようになる。
段違いに、識ることのできる魔術が増えるわ。
アトリ:それは……魔術が技術的な側面を持っている事を考えると、少し妙な話だな。
トト :これがちょっと変わった部分なのよねー……。
階位は、あくまで魔術師としての力量を示したものなのだけれど――
次の階位に向上するまであと少しの人と、階位が向上して間もなくの人。
差は、僅かなように思えるのだけれど――これが驚くほど、実力に開きが出るのよ。
それこそ、丁度RPGの「レベルアップ」みたいに。
アトリ:二階位以上の開きが存在すると、下位側には絶対に勝ち目は無いというのも……この辺りからか。
トト :まあ、そんな所かしら。
だから、それまでは理解したくても出来なかった構成も、階位が向上することで嘘みたいに会得することが出来る。
もっとも「可能になった」だけだから、そこから習得するためには本人が努力しないといけないんだけどね。
アトリ:階位によって習得できる構成に差があるのならば、そこから構成にも『位』を設けても構わん気もするが……?
トト :ん〜……そう定義してもいいかなと思ったんだけれど、それも少し違うのよね……。
例えば、同じ魔術でも――“9”の魔術師と“1”の魔術師だと、構成の情報密度の差が半端じゃないのよ。
勿論、“1”側の魔術師が意図して構成を簡略化することで、擬似的に下階位の魔術師の構成と同じものを形成することも出来るけれど、
手をつけることの出来ない部分もある――例えば、その構成を識った魔術師がどの階位に位置するのかを示す部分とかは改変できないわね。
それを逆に利用して、魔術師達は自ら名乗る時、必ず構成をその場で識り上げるっていうマナーみたいなものがあるの。
目の前で構成を識って、それを見てもらうことで――自分の口にした階位の証明とするってところかしら。
アトリ:……魔術師はそんなことをしなくても、相対しただけですぐに「判る」んじゃないのか?
トト :まあ、ね。……でもほら、礼儀っていうのは時に形式に妙に拘ったりするものだし。
アトリ:確かに……。
トト :……あ、そうそう。確か、アトリたちには階位の情報は「色」で認識されるんだったわよね?
アトリ:そうだ。……波紋に現れる『色』で、ペネトレイターは相手の階位を視認することが出来る。
今回の話ならば、あの紅の波紋……あれは“4”の魔術師の構成に現れる色だ。
第九話でも、同色の波紋が現れていたが……“4”級の魔術師がそうそう何人もいるものではないからな。
あのオズワルドと言う魔術師のものに違いないだろう。
トト :ここでさらっと、重要な所だけ整理してみるわね。
階位は魔術師の実力を置き換えたもの
9つの数字から構成されていて、数字が若ければ若いほど地位は高い
階位が一つ異なると、その実力は雲泥の差。二つ以上違うとまず即死決定
階位の高さによって、使うことのできる魔術は格段に増える
偽ることが出来ないもの
魔術師には相対するだけで『判り』、ペネトレイターは波紋の色で視認することが出来る。
……こんなところかしら?
アトリ:各階位の名称と、ペネトレイターにはどう「見え」るか……。
そして、各階位が魔術師の社会において、どの程度の身分なのかというものも上げておくとするか。
1:ワーヒド (銀):魔術師教会総帥ヘクター・アーチボルド
2:イスナーン(青):魔術師協会の中でも最高幹部クラス
3:サラーサ (緑):弟子を取り、賢者と呼ばれてもおかしくないレベル
4:アルバア (赤):高い実力と知識を持つ。この辺りから二つ名を名乗る人も
5:ハムサ (紫):実力者。エリート系はここからスタート
6:スィッタ (灰):研究者を名乗れる程度には魔術に精通しているレベル
7:サブア (茶):一般的に「魔術を扱える」と認識されるレベル。大半の人がこれかも
8:サマーニヤ(橙):初心者。修練の身や学生など
9:ティスア (黄):超初心者。魔術の才能がある「だけ」
……こんなところだな。
トト :今までの話の中では……4話で出てきた保安士・フィリップ君が“5”、
ネフェル=テムのドアボーイの子は“6”だったわ。二人とも、魔術師としては相当なものよ?
普通、世にいる大半の魔術師は“7”止まりなんだし。
アトリ:確か、その階位になることで魔術師は一人前と扱われるんだったな?
トト :そうよ? この階位になれば、その魔術師は『成人』として認められるの。
逆に言えば、この階位でさえあるなら、例え年齢一桁だろうと結婚したりすることも出来るわね。
まあ、普通の魔術師なら、この階位に到達する頃には18歳前後になってる頃合ぐらいでしょうけど。
普通の子達が“7”に達する頃に、既に“5”に達している子が――俗に言う『エリート組』ね。
そういう子達は、生涯が終わるまでに“4”か“3”になって、
沢山の新しい才能を育てたり、後世に伝わるような構成を発見したりする子が大半かしら?
アトリ:魔術師教会からペネトレイトの依頼が入ってくる対象は、大概は“5”か“4”。
“3”となると、協会としても本腰を据えて大々的な討伐に乗り出す形になる。
トト :アトリ以外のペネトレイターなら、“4”でも大概は返り討ちにあってるんでしょうけどね。
……で、その更に上――“2”の魔術師になると――桁そのものが違ってくるわね。
一瞬で数千人を地平の果てまで転移させたり、山を一瞬のうちに灰燼へと返したり……。
この世界でも、この階位に属している魔術師は両手の指で足りるくらいの数しか存在していないはずよ?
アトリ:……最期の、最上位――“1”についてだが。
トト :魔術師教会総帥ヘクター・アーチボルド――彼以外に、この階級に属している魔術師は存在しないわ。
魔術の根源に最も近い魔術師……現在の世界の最高権力者よ。
アトリ:まあ、所詮は雲の上の存在だがな。
トト :そういうことね。
トト :ん〜……これで、ようやく解説終了ね……これで、階位については理解してもらえたかしら?
アトリ:俺達をゴースト化できない理由の一つがこれだな。……話が長すぎる。
トト :……ひょっとして、これって本編より文字数多いんじゃないの?
作者 :_| ̄|●|||



