Final Fantasy W After Story

第十八話 砂漠の王国・ダムシアン

地底湖に巣くっていた化け物・オクトクラーケンを、苦労の末に撃破したラディ達。
そして疲れる体を魔法で癒し、彼らは北にある王都ダムシアンへと、歩を進めていた――
「………………」
ざくざくと、歩む速度は下げることなく――しかしラディは一言も言葉を発さずにいた。
ただ呆然と、自分の手と――そして腰のテュルフングを見やっている。
「……あまり注意力を散漫にしていると、足を取られるぞ」
「うわわわわっ!?」
背後からのクレセントの問いに、ラディは驚き――そのまま顔から砂の中に突っ込んだ。
その有様に――クレセントは思わず一つ嘆息する。
「……言ったそばから、か。ほら、つかまれ」
「あ、ああ……ごめん」
クレセントの差し出した手をつかみ――ラディは立ち上がる。
「お前がそこまで無防備な状態をさらけ出すとは……一体、どうしたのだ?」
「………………」
「……やはり、あの時の『暗黒』……か?」
一瞬にしては、若干長い間を置いて――ラディは小さく頷いた。
「…………ああ」
『暗黒』――それは、暗黒騎士にとっての最大にして最高の必殺武器。
正しき闇の力を持って、歪みを断ち切る破邪の力。
負の試練によって習得可能とされる、暗黒剣の本質たる力であり、
暗黒騎士を目指すラディにとっては、これを習得することこそ彼の一番の目標となるもの――だが。
「何で……なんであの時、オレは『暗黒』を使えたんだ……?」
そう。
オクトクラーケンとの死闘のさなかで。
ラディは確かに、『暗黒』をもってして、あの無限の再生能力を持つオクトクラーケンを滅ぼしたのだ。
あの時の現象が確かに『暗黒』だった証拠に、あのあとラディは心身ともに疲労していたし、
クレセントの目にもはっきりと、あの膨張したテュルフングの刀身から、揺ぎ無き闇の波動を感じ取っていた。
あれは――あの時ラディが発動したのは間違いなく『暗黒』だった。
本来なら、喜ぶべきなのだろう。
なにせ、負の試練の情報が全く見当たらないのだから。
負の試練無しに、暗黒を習得――すなわち、暗黒騎士になれたのだ。
喜んで――いいはずだ。なのだが――ラディの顔は浮かない。
「……その様子では、納得がいっていないというようだな」
「ああ。……何故だかは判らないけど……なんかこう、釈然としないというか……」
言葉に表すのは難しいのだが――自分の奥底で、感じるのだ。
あれは――なにかが、違うと。
その証拠に、地底湖を出て以来――モンスター相手に『暗黒』を使おうとしたが、全く使うことは出来なかった。
「……単なるまぐれ、なのかな……それとも……」
「さあな……それは判らんが、はっきりしていることもあるだろう」
「え……?」
「お前が確実に、その剣――テュルフングを使い慣れてきているということだ」
「あ……」
そうだ。たとえあの暗黒がまぐれでも偶然でも、釈然といかないものだったとしても――
あの戦いの中、テュルフングが自分の手に吸い付くようなあの感覚。
あれは、今でも確かに感じている。
確かに自分は、着実にこの剣の扱いに慣れてきているのだ。
「……残念ながら、私は暗黒剣には明るくはない。だが……お前は確実に、その剣を使いこなしだしている。
あの『暗黒』に何の意味があるかは判らんが……お前は着実に一歩一歩、歩んできているのだろう?
それまでもを疑い、否定するのは――愚者のすることだ。お前が取るべきものではない。……違うか?」
「そう……か。……そうだよな」
開いた掌をぐっと閉じ――顔を上げたラディの顔に、もはや翳りは微塵も見当たらなかった。
「オレは暗黒騎士に、少しづつでも近づいている……それで、いいんだよな!」
「うむ。……事実が同じなのなら、前向きに考える方が建設的だ」
口元に微笑を浮かべるクレセント。
……だがラディは、まだ心の中で一つ、疑問を残していた。
あの時――『暗黒』が発動する、あの直前。テュルフングから見えたイメージ――
あれは間違いなく『あの時』の『あの子』だ。
それは――間違いない。
だが何故、あの瞬間に現れたのだろうか?
それも――よりによって、テュルフングから――
「う〜〜〜〜〜〜〜〜あ〜〜〜〜〜〜〜〜あう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜………………」
しかし――ラディの内面への問いは、突如響いた呻きによって見事に遮られた。
モンスターかとぎょっとして見やれば、そこにいたのはモンスターではなく――ミレイユ。
「ど……どうしたんだ?」
「どーしたもこーしたも無いわよ……うああ、気持ち悪い……」
ミレイユは全身から不快感をあらわにしつつ、ローブの下に手を潜り込ませてごそごそと動かす。
地底湖で、彼女は一度水の中にお尻から着水している。
そのため、ローブを通して下にまで水が染み渡ったらしい。
ローブの方はこの灼熱で乾いたものの――その下の服装までは、さすがにこの短時間では乾くはずも無い。
つまりは――
「うああ……ショーツがこすれて気持ち悪いぃぃぃぃ……」
その発言に――ラディは思わずそっぽを向いていた。
顔から火でも噴きそうなくらいに紅い。
「生乾きっていうのがまた……生殺しよねぇ……ねぇ、ラディ?」
やたら生々しいことをしゃべくりながら、あろうことか同意を求めるミレイユ。
しかし「ああ」とも「違う」とも応えるのは変なので、とりあえずは黙っているラディだったが――
「ああもう……気持ち悪い……いっそ、ローブ脱いじゃおうかしら」
「いいっ!?」
ミレイユの格好――ローブの下は、タートルネックのニットワンピースとなっている。
ただ――そのまま、セーターを伸ばしたのではないのかと思うくらい冒涜的に足元が見えているのではあるが。
しかしまあ、過酷な旅路に足をむき出しにしておくのは非常に無謀な行為であるため、
オーバーニーソックスをはくことで、足は付け根ぎりぎりくらいまでを覆っている。
そのため、肌が見える部分はわずかだ。
しかし――ニットのためにやたらに体のラインが強調されているので、ラディとしては目の毒にしかならない。
このうえ、濡れて服がへばりついているという状況が加えられたならば――
しかしミレイユはローブを脱ぐことも無く、ラディをからかうことも無く、この気持ち悪い感触に叫んでいた。
どうやら――本ッ気で、嫌なようだ。
「あ゛〜〜〜っ!! もういやだっ!! さっさとダムシアンに行って大浴場でさっぱりしたいっ!!」
「大浴場……?」
聴きなれぬ単語に、クレセントとラディは異口同音に問う。
ミレイユは耐え難い嫌悪に頭をかきむしるようにしながらも、律儀にその問いに応えた。
「聞いたとおりの意味よ。
ダムシアンの城には、地下に残った莫大な地下水と火のクリスタルを利用した一角をまるごと浴場にした場所があるの。
もっとも、城の関係者しか入れないけど……私はこれでも王国お抱えの学者様♪ だ・か・ら……使ってもオッケーなのよ♪」
「ふむ……凄いな」
呆れることも無く、素直にクレセントは驚嘆した。
ラディもまた同じく驚いている。
その様子を見て、ミレイユは機嫌をよくしたものか、
「なんなら……ラディ達にも使わせてあげよっか? 大浴場」
「え!? ……そんなこと――」
「いいわよぉ……こう、ダムシアンの景色を一望しながらの入浴は♪
あ、もちろん外からは浴場は見えないわよ?
いくらなんでも裸をおおっぴろげに大公開するほど私も度胸無いもの」
「いや、そうじゃなくて……ミレイユに、勝手にそんなことを決める権利があるのか?」
ラディの邪気の無い問いに――ミレイユは頭から砂漠の中に突っ込んだ。
「あ、あのねぇ……聞いてなかったの!? 私は王国お抱えの学者なの! それくらい出来て当然でしょ!」
「いや、ミレイユがそもそも学者っていうこと自体、なんだか半信半疑だし……」
「じゃあ私はなんだって言いたいのよ?」
「う〜ん……ちょっと変わった、酔いどれ?」
反論しようと口を開いたが――何故か、ミレイユは言葉が出なかった。
きっとこの不快感のせいだ。決してラディの言葉が正しかったからではない。
「……王城に帰って糸を補充したら…………ラディ、覚えてなさいよ……」
あの異界神竜『ガルーダ』とやらの攻撃で、ミレイユは手持ちの糸をすべて消滅させられてしまっていた。
きっと糸が残っていれば――今頃ラディの四肢は胴体とおさらばしていたころであろう。
その未来をラディ自身、予想して――冷や汗がつつ、と流れた時。
「……夫婦漫才をするのは別に構わんが……そろそろ、ダムシアンが見えてきたぞ」
二人のやり取りに嘆息しつつ、クレセントは前方を指差す。その先にあったもの。それは――
「城壁……?」
そう。
ゆうに10m以上はありそうな高い壁と、中心にある巨大な門。
門は開かれていて、その先にあったのはカイポによく似た、しかしカイポすら上回る巨大な町並み――恐らくあれが、ダムシアンの城下町だろう。
しかし、何故それを取り囲むようにこんな堅牢な城壁が巡らされているのだろうか。
「……あれは別に、無意味に建造されたわけじゃないわよ? ちゃんと理由があってのものなんだから♪」
「理由……って、一体――」
そこまで口にして――ラディは、ばね仕掛けの様にがくんと顔を跳ね上げた。
彼が会話を中断せざるを得ないほど――そこから、感じたからだ。
圧倒的な――『鬼気』と呼んでも差し支えの無いほどの、圧倒的なまでの闘気。
そして――殺気!
テュルフングを引き抜こうとして――しかし。ラディは漠然とだが――感じていた。
この落ちかかる斬撃は――決して受け止められないと。
もし、そんなことをすれば――このテュルフングごと、頭から二枚に斬り下ろされると。
そんなことは有り得ない――テュルフングを叩き折られることなど、物理的に不可能なのだが――ラディはこの確信にも近い自分の勘の方を信じた。
斬撃の影響下からミレイユを突き飛ばすなり、自分も全力で地面を蹴って反対方向へと飛ぶ――そして、斬撃はラディの瞬刻前にいた空間を裂き。
――砂漠が『爆発』する。地面への衝撃が砂を爆発的に巻き上げ、凄まじい剣圧が生む烈風がその砂を巻き込んだ。
ラディは斬撃を完全にかわしたというのに――その剣圧だけで、顔を覆った右腕の甲冑の手甲が完全に破壊される。
目も開いていられないほどのその中で――朗々と響くのは、男の声。
「ほう――見掛け倒し、というわけではなさそうだな。我が斬撃、かわすとは……賢明な判断だ。
我が一撃は受けるにあらず。全てを断ち――二の太刀など、存在せん!」
その声だけでも、常人なら圧倒され、あとずさっていることだろう。
それほどの――言葉に秘めた鬼気。
ラディもまた、なんとか二つの足で立っていたが――その声だけでも、相手の尋常ならざる力量が知れる。
やがて砂塵が晴れ――斬撃を見舞った、相手の姿が露となる。
そしてラディは――その相手の姿を見て、愕然となった。
その身長は、2mを上回っているだろうか?
その甲冑の下に筋肉が鎧ってあるが――その大柄な体はきっと引き締められており、大男特有の『鈍重さ』は微塵一切、感じることは無い。
ラディより年上だろう。腰まであろうかという長い銀髪の下の顔は意外に整っており――
禁欲的なものも重なり、別の場所でもっと落ち着いてあっていれば、どこの上級貴族の出かとも思ってしまう。
しかし――今、夕陽の最後の一光にも似た紅の双眸は炯と輝き、圧倒的な闘気が髪を逆立てん勢いだ。
銀の髪の、鬼――そう、自然に言葉が浮かんでくる。
だが。ラディが一番驚いたのは――彼の持つ、斬撃に使った大剣であった。
いや――大剣と呼べるのだろうか? その刀身の長さはゆうに8m以上、刃の幅も1mはあろうか。
正直、なにかのオブジェとしか思えないほど馬鹿げた大剣。
しかし、それをまるで小枝でも扱うかのように男は持ち上げ、肩に担ぐようにして構えを取った。
「だがッ! この俺の『銀鬼神』の異名も伊達ではないッ!!
貴様のような不逞の輩、我と我が『無影』の前に露と消えると知るがいいッ!!」
「な……!? ふ、不逞って……」
「そのような黒き甲冑、闘気……そしてッ!
その腰に挿した、尋常ならざる『力』秘めし剣!! 言い逃れはさせんぞッ!!」
腹腔からたたき出された大音声がラディを容赦なく叩く。
しかし――ラディはそれでも、相手の誤解を解こうと口を開こうとして――それを、中断された。
この目前にいる男のせいではない。
……感じたのだ、もう一つの気配を。
もう一人いるのだ!
もう一つの気配の放つ――圧倒的なまでの闘気。
否、闘気だけではない。この、澄んだような輝きは――
「聖剣……パラディン!?」
「フッ……気付いたか。だが――遅いッ!!」
銀髪の男の背後から地を蹴り、跳躍した逆光の人影は――そのまま大上段に剣を構えて――
「死兆の星の七つの星の経絡を立つ――」
清涼たる冷気が一点へと濃縮されていくような、独特の感覚。
そしてあの口上――間違いない。
このパラディンが放とうとしているもの。
聖剣を媒体に自らの精神を練り研ぎ澄まし、正しき光で歪みを斬り裂く刃と化す『力』――聖剣技。
ラディは全力で地を蹴り――
「――北斗! 骨・砕・打!!」
聖剣が振り下ろされて――瞬間、凄まじい勢いで、地中から突き出した巨大な剣がラディを襲う!
巨大な剣――パラディンが練り上げた精神の刃は、凄まじい勢いでラディを串刺しにせんと牙をむく。
しかし寸前――ラディは全身を猫の様に丸め、同時に腰からテュルフングを引き抜くなり――巨大な刃へと突きこむ。
「な……!?」
聖剣と暗黒剣――二つの相反する力により巨大な刃のエネルギーを相殺し、そのままラディはテュルフングを掴む手に力を込めた。
棒高跳びの要領で彼の体はさらに跳躍し、くるくると回って体勢を整え、地面へと降りようと――
「逃しは……せんぞッ!!」
銀髪の男の剣――『無影』が横薙ぎに放たれたのはその時だ。
それは丁度――着地しようとするラディの足首を、美しいまでのタイミングで切り裂くものだった。
今度こそかわす手立てのないラディは息を呑み――
「レビテト!」
瞬間――ラディの落下が途端に遅くなる。
「ぬうっ!?」
男の大剣は見事に空気のみを切り裂くに留まり――ラディは剣の過ぎ去った後にゆっくりと着地した。
「……大丈夫か、ラディ?」
先刻、彼にレビテトを唱えた人物――クレセントは、ラディのそばまで来ると、男達へと向き直る。
「いきなり襲い掛かってくるとは……一体、どういうつもりだ?」
「黒い甲冑二人組……その異様な格好で、不審者と疑うなという方がどうかしてるだろう?」
聖剣技を放った方のごくまっとうな突っ込みに、ラディ達はただ呻くくらいしか出来ない。
改めてラディは、もう一人の男――パラディンのほうを見やる。
銀髪の方と比べるとどうしても小さく思えるが――その身長は恐らく180は下らないだろう。
そしてやはり、ラディよりも年上。
全身を包む真っ青な甲冑に、金の髪。瞳は美しい緑。
そしてその手に握られているのは紛れもない――聖剣。
「しかし……まさか聖剣技をああいう風に無力化してしまうとはな。よほどの剣の腕前のようだ。
フッ……久々に、面白い相手と出会えたようだな!」
目前の男達は、自らの武器を油断なく構える。その様だけで――ラディは相手の技量が尋常ならざるものであることを感じ取った。
たとえ誤解であろうと――この場は剣を打ち合わざるを得ない。
こちらが隙を見せた瞬間――それが直接、死へとつながりかねないほどのものだった。
「……クッ!」
ラディは改めてテュルフングを構え、短剣を引き抜く。
クレセントもまた、相手を迎撃するため精神を研ぎ澄ました。
極度に張り詰めた空気。
一瞬が引き伸ばされるような、即発の空気――
だが。
「やめときなさい」
唐突にこの場に響く声。
そして、大剣を構えた銀髪の横顔に、小気味いいくらいに突き刺さる飛び蹴り。
――それが、この空気を気持ちいいくらいぶち壊しにした。
くるくると回転しつつ砂漠へと突っ込んでいく銀髪に、嘆息したのはとび蹴りを放った人物――
「ったくもう……ゼルビノ、なんでこうあんたは勘違いばっかりなのかしら?」
「ミレイユ……その姿は一体……?」
ラディが驚くのも無理は無い。
ミレイユは何故か、全身砂を被って黄色になっていた。
「……なるほど。そういうこと、か……おいゼル。どうやらお前の勘違いだったらしい」
「勘違い……? どういうことだ、アルベルト?」
金髪のパラディン――アルベルトの差し出す手を掴み、銀髪の男――ゼルビノは首をかしげた。
しかしアルベルトはただ首を横に振り、ミレイユの方を指で指し示す。
ゼルビノは眉間にしわをよせるように目を凝らし、ミレイユへと息がかかるくらいまで近寄って――
「……まあ、あんたの勘違いも今に始まったことじゃないけど、ね」
「……………………ッ!! ミ、ミミミレイユ様ッ!?」
よほど近眼なのか――そこでようやっと、ゼルビノは相手の正体に気がついた。
同時にその顔からざ〜っと血の気が引く。
「ミレイユ……結局、これってどういうことなんだ……?」
張り詰めた緊張をぶち壊しにされて、言いようのない疲れに困惑するラディ。
「ん〜……この二人はね、ダムシアンの門番なのよ。でまあ、ラディたちを不審者と勘違いしたみたいね♪」
「み、みたいね♪ って……」
「仕方ないじゃない。こんな真っ黒な甲冑を着込んでる二人組よ? 普通、誰でも怪しむでしょ」
事実を知って、さらに脱力するラディ。と――アルベルトが口を挟む。
「ゼルは極度の近眼でな……。間違えて斬りかかるのは日常茶飯事なんだ。
3ヶ月前なんかは地方遠征から帰ってきたギルバート陛下に斬りかかっていったくらいだしな」
「ア、アルベルト……!」
「『陛下の姿を真似てこの王都への侵入を試みるとは……恥を知れ』っていきなり飛び掛ってな……。
オレが間一髪止めていなかったらいまごろ陛下は二枚に下ろされていたところだ」
「むう……」
じっとりとした汗をかき――ゼルビノは押し黙る。と――
「しかし……何故貴女は今まで姿を見せなかったのですか?
最初に貴女の存在を確認していたら、ゼルはともかく、オレの方が剣を収めさせておきましたが――」
「仕方ないでしょ〜? ゼルビノの吹っ飛ばした砂に思いっきり埋められたんだから」
ミレイユは全身をばふばふと叩いて砂を落としながら、ゼルビノへと非好意的な視線を投げかける。
「す……済まない。まさか……ミレイユ様のお知り合いとは知らず……」
「ミレイユ……様?」
ラディは思わず、聞き返していた。
ミレイユが自称「ダムシアンお抱えの学者様」というのは聞いていた。
しかし、それならば普通「ミレイユ博士」と呼ばれるものではなかろうか?
門番がいちいち、いくらなんでも一学者に対して「様」付けなどをするものだろうか――
「む……知らんのか? この方は、ダムシアン王国第二王位――ごふっ!?」
何かを告げようとするゼルビノだったが――突如その逞しい体がくの字に折れ、くず折れる。
丁度ゼルビノのみぞおちの辺りに肘を突き出す形で――やけににっこりとミレイユは笑って、
「ななな、何をまだぼけてるのかしら?
私はダムシアン王国お抱えのモンスター学者のミレイユ博士。そうよねアルベルト?」
「……え、ええ。そうですね、ミレイユ『博士』。……そういうことらしいぞ、ゼル」
「な、ならば……最初にそういってくだされば……っ」
よほど強烈に入ったのか――顔面蒼白になったゼルビノが呻く。
しかし、いまだ不審そうな表情をしているラディに、ミレイユは取ってつけたように、
「あ、そうそう! 紹介しておくわね。
ダムシアンまで私の護衛を頼んでた、ラディにクレセント。で、こっちの二人が――」
「アルベルト・エンタープライズだ。……いきなり襲い掛かって済まなかったな、ラディ君」
そう言って、青の甲冑に身を包んだ、金髪のパラディンが握手を求めてくる。
一瞬、どうすべきかを迷ったが――結局、その手をしっかり握り返す。
「……俺はゼルビノ。ゼルビノ・チェンバースだ。……刃を向けて、済まなかった」
銀髪の男も――済まなそうに、頭を下げる。
しかし顔を上げた時には、
「しかし……俺の一撃をかわすとは。
今回は俺の誤解だったが……日を改めてもう一度、刃を交えてみたいものだ」
そう言ってみせる辺りが尋常では無い。……だが、
「ええ……そうですね。俺も一度、打ち合ってみたいです」
ラディもまた、そう言って笑う。
モンスターとの戦いとは違い、実力者との一騎打ちは正直、ラディも嫌いでは無いからだ。
「はいはいはいはい。暑っ苦しい漢の友情を深め合うのはまた今度ね? いいから街に入りましょ」
「ふむ……そうだな」
「そうか。では改めて……ダムシアンへの入場を許可する。ようこそ、ダムシアンへ」
王都・ダムシアン。5年前、飛空艇団「赤い翼」の爆撃により壊滅し、多数の死者を出した街。
5年前には原形すら留めぬほどに破壊されつくした街であったが――
「すごい人だ……」
街に一歩入って――ラディは感嘆と共に、そう呟いていた。
街の形式としては、カイポに似ているだろうか?
中央に巨大なストリートがあり、そこから碁盤目状に多数の道が分かれている。
そして道の両脇にごまんと存在する露天商。店、店、店……。
そして、カイポすら上回る人の数。ダムシアンが『眠らない街』の異名を誇るのも、今ならよく判る。
「でしょでしょ? ……まあ、昔どおりってワケにも行かないけど……この活気はダムシアンの命だしね♪」
「どれだけ破壊されようと……こうやって、瞬く間に復興する……か。この地の民は、強いな……」
非常に思慮深く、クレセントも呟く。
「で、あれがこの国の中枢――ダムシアン城よ♪」
「……すごい……」
ミレイユが指し示した城――それは、建築に関しては全く知識の無いラディが思わず息を呑むほどに美しかった。
城、という本来の目的ならば――自分の国であるバロン城はもっとも洗練されていると思うが、
このダムシアン城は、そう――造形の美、とでも言えばいいのか?
とても5年前、廃墟と化していたとは思えないほどに――それは美しい城だった。
「……確かに、凄いな。5年前の時よりも、さらに造形に磨きがかかったのではないのか?」
「まぁね♪ 先刻言った大浴場以外にも、空中庭園もあるし……。
一週間に一度は、一部を除いて一般解放されてるし♪ この国の観光名物にもなってるのよ☆」
「へぇ……」
もともと、バロン国内からは全く出たことの無いラディであったが――
世界は広いということを、この時ほどしみじみと実感させられたのは人生でも初めてだ。
……しかし――
「これだけ綺麗な城なのに……あの城壁があったら、殆ど見えないんじゃないか?
確かに――ダムシアンの街に入れば問題ないが、ダムシアンの街の外からではこの町の様子はさっぱり判らない。
それは少々……いや、かなり勿体無いと思うのだが――
「まぁね……でも、仕方ないのよ♪ こうやって城壁で街を囲んでないと、『万一』のことがあったらいけないし」
「万一……って?」
ラディの問いに、ミレイユは答えようとして――結局、それが成されることはなかった。
非常にけたましく鳴り響く警報が、ダムシアンの街を貫いていったからだ。
「な……何!?」
思わず耳を塞いでいたラディは――目の前で繰り広げられる光景に、思わず目を疑った。
今まで、街を観光していた客が――皆そろって、近くの建物の中に走りこんだからだ。
露天商を開いていたものも――ワンタッチで店をたたむなり、客にならって建物へと駆け込んでいく。
建物は、ある程度の人数を収容するなり固く扉を閉じ、窓を閉じ、カーテンを閉める。
よくよく見れば、街のあちこちに「避難用経路」と書かれた看板が立てかけられていることに、今気づいた。
同時にダムシアンの街と外をつなぐ、巨大な門もまた音を立てて閉じていく。そして――
あっ――
と言う間に。……ラディ達以外、ダムシアンの町に人っ子一人居なくなっていた。
「これは……!?」
「う〜ん……説明する手間が省けたわね♪ よいしょっ……と!」
「うわわわわっ!?」
ミレイユは突然、ラディの背に飛びついた。
思わずラディも受け止めてしまい、ミレイユをおぶさってしまう。
「ちょっ……ミレイユ!?」
「仕方ないでしょ? 糸、無いんだから……さ、それより♪ あの建物の屋上まで、跳んで♪」
ちゃっかり首に手を回し、体勢を整えつつ――ミレイユが指差したのは、この街の宿屋と思わしき建物。
何階も階層があるらしく、結果としてこの建物だけが頭2つほど他の建物よりも高い。
……しかし――
「いくらなんでも……竜騎士じゃあるまいし、あんな高いところまで一っ跳びって訳には……」
「え〜? 出来ないの?」
「う〜ん……別にオレ一人ならいいんだけど、この状態で失敗して壁に激突したら……ミレイユ、死ぬぞ?」
「う゛……」
かなり普通にえげつないことを口にするラディに、ミレイユが思わず呻く。
……クレセントが口を開いたのはその時だ。
「……あの建物の上……それでいいのだな?」
「ん……そうだけど? 出来るの?」
「問題ない。……大いなる母の腕、今その愛子を抱くのではなく、旅立ちへの後押しへ……レビテガ」
クレセントの詠唱とともに、ラディの足元が淡く輝き――その体がふわりと浮かび上がる。
「うわっ!?」
「落ち着けラディ。……制御は、私が行なう。余計なことは考えず、私に委ねてみろ」
「あ、ああ……」
クレセントの落ち着き払った声に――ラディは言われたとおりにした。
クレセント達の体はぐんぐんと浮かび上がり――建物の屋上へと到達し、着地したところで効力を失った。
「クレセント……いつもいつも、助かるよ」
「礼など無用だ。……それよりもミレイユ。一体ここに、何の用があったのだ?」
「う〜ん……何の用、というか……ようするに高いところならよかったのよ。城壁の外が見えるくらいに……ね♪」
もう上ったというのに――何故かラディの背から降りようとしないミレイユ。
だが彼女の言うとおり、確かにこの上からならば――あの高い城壁の外の風景もしっかりと見える。
そして――その外。つい先刻、ラディたちがぽつぽつと歩いてきた砂漠に。変化が起こっていた。
遥か先――ところどころで、爆発的に発生した砂柱が屹立している。
「な……何だ、あれは……!?」
「なに? ラディ、もう見えてるの? ……すっごい視力ねぇ。私にはまだ、見えないけど……」
砂柱は一見、無秩序に発生しているように見えて――よく見れば、それは着実にこの街へと近づいていた。
そして――近づいていくにつれ、その姿がラディの目にはっきりと見えてくる――
「な……っ! きょ、巨大なミミズ……!?」
そう――それは、凄まじく巨大なミミズの化け物だった。
それが砂漠をさながら海のように見立て、トビウオが海の上を飛び出すようにしてその体をくねらせて迫ってきている。
砂柱はミミズが再び砂漠へと沈む際に発生しているものだったようだ。
つい先刻、タコの化け物を相手にしたラディは流石に心底驚いた――とまではいかなかったものの、それでもこの光景に唖然となる。
「……サンドウォームだな。確かダムシアン砂漠に生息する、巨大な肉食の蚯蚓。
その全長は10m以上、強固な皮膚は鋼以上の硬度と軽さを持つことで飛空艇のプロペラなどの原材料として有名だ。
オクトマンモス、アントリオンと並んで、ダムシアンの三大巨獣として数えられている……違うか?」
「違わないわよ♪ その性質は獰猛かつ凶暴。……倒すには、飛空艇の爆撃でも無いと普通は倒せないわね」
「飛空艇の……って、そんな、今向かってきてるのに悠長な――」
「大丈夫♪ ……だったら、普通じゃない方法で倒せばいいだけのこと……でしょ?」
ミレイユは意味深なことをラディの耳元で言ってのけ、目前へと視線を向けた。
「……ダムシアンではね、最強の騎士が門番を勤めることになっているの。
理由は一つ、あのサンドウォームに対抗するためよ。
……そして今門番を勤めてる二人。
『蒼天駆ける稲妻』アルベルト・エンタープライズ。
そして『銀鬼神』ゼルビノ・チェンバース。
この二人は、お金で雇った傭兵なんだけど……その腕は本物よ。
……なんたって……パラディンと暗黒騎士のコンビなんだから」
「……ゼル。今回は一体、何匹だ?」
「2匹、だ。……一人一匹。そう難いことでは無い」
「フッ……確かに」
アルベルトとゼルビノ――二人は不敵に笑み、自らの獲物を手にする。
「しかし……お前もいい加減、相手の気配だけを頼らないで眼鏡くらいかけろ。
何で非番の日はかけてるのに戦闘中はかけようとしないんだ……?」
「……眼鏡がこれ以上壊れると、ミサキが泣き出しかねん。それは……困る」
「まったく……お前の妻への溺愛ぶりも相変わらずだな……」
「お前も所帯を持ってみるといい。……今年でもう25だろう、相手の一人や二人いるのではないのか?」
「フッ……まあ、とりあえず考えてはおこう。……オレから行くぞ!」
構えを取り、アルベルトは地を蹴った。
その速さ、確かに稲妻のような迅速さ。
すでに肉薄し、その口に不揃いに生えた凶悪な牙をむき出しに迫るサンドウォームに怯む事すらなく、
愛用の聖剣『バルキリー』を横に構えて――
「風より疾く、光よりも迅く……舞い……散れ『血華舞剣』」
その言葉とともに、自らの精神がバルキリーへと収束する。
あのうだるような砂漠の灼熱も、今は霊峰の滝の前のように静かに、冷ややかに。
――そんな感覚と共に、アルベルトは跳躍し――
「大気満たす力震え、我が腕をして閃光とならん……無双稲妻突き!」
虚空を切り裂く、バルキリー――そして、アルベルトを呑まんと猛るサンドウォーム。
だが――その粘液にぬめりと輝く牙を砕いたのは、地面より突き出した巨大な『刃』。
それは一つだけではない――都合数十はあろうか?
地面より突き出したアルベルトの精神の剣、強靭なサンドウォームの皮膚を貫き、柔らかな中身を食い破って背から飛び出す。
傷口から、体液を滝のように流しつつ――それでもなお、強靭な生命力で吼えるサンドウォームだったが――
「悪いが……この聖剣技は二段構えでな。――召雷!」
アルベルトがバルキリーを、誓うように眼前に構える。
その瞬間――サンダガに匹敵する稲妻がもがき苦しむサンドウォームの全身を無情にも叩いた。
その凄まじい威力に――皮膚は、耐えた。
だが、その皮膚で覆われた中身までもが、その稲妻に耐えられるわけもなく――
焦げた臭いを漂わせ、轟音を響かせて今度こそサンドウォームは倒れ伏す。
と――その死骸の脇をすり抜け、もう一匹のサンドウォームはダムシアンへと疾駆した。
しかしアルベルトは焦らない。ただ絶対の信頼を込めた目で、後方の相棒を見やるだけだ。
そしてゼルビノは、8mを越すその長大な愛剣『無影』を構え、瞳を閉じて。
「牙よりも猛く。刃は骨を砕き、敵を断つ……『破骨断剣』!」
かっと眼を見開いた時――まるで鞘から、刃を抜いたかのように。
ゼルビノの全身から、凄まじい勢いで闘気が噴き出した。
ラディと相対した時――いや、それ以上の、触れただけで砕かれてしまいそうなまでの気迫。
美しい銀の髪は逆立ち、その姿、まさに――『銀鬼神』。
「我が後方に何も無く、我が前方に敵が在る……
生きるも死ぬも剣持つ定め。『力』極めし剣持つ定め……!」
左手を、そっと無影の刀身へと滑らせる――そこに流れるのは、命の刃。
無影を包み込むように刃は流れ、無影から圧倒的なまでの威圧感が発せられ――その刀身が、膨れ上がる!!
「我が一撃は受けるに在らず。我が一撃は防ぐに在らず。
……我が一撃は――現世を断つ無双の剣ッ!!」
ゼルビノが、一歩を踏み込む。
その一歩はまるで地震のように聞くものの腹腔に重く響き、あのサンドウォームすらもその圧倒的なまでの鬼気に瞬間猛進を止めてしまっていた。
否――その光景を眺めていたラディですらも、その圧倒的な気迫に気圧され、息を呑む。
今この瞬間、神をも畏れぬ銀髪の鬼は、この世の理すべてを支配していた。
そして――この世界の一切を掌握した鬼が、その牙を剥き咆哮する!
「一刀ッ! 両ッッッッッ断ッッッッッッ!!」
時が、止まる。
咆哮とともに、鬼の腕が閃いた。
横に薙ぐ、一閃――その残影すら、捉えることの出来ない一閃。
次の瞬間、振り抜かれた無影は城壁に激突した。
凄まじい音を立てて、その斬撃は停止する。
そしてその轟音と共に――再び、時は動き出した。
動きを止めていたサンドウォーム――その顎が、ゆっくりと、横に滑る。
そして、ずるりという異音を立てて――美しいまでに両断されたサンドウォームの巨躯が、砂漠に吸い込まれて轟音を響かせた。
「我が後方に何も無し。我が前方に何も無し。
我が一撃に……断てぬものなど、何も無い」
目の前で繰り広げられた、尋常ならざる光景。
あの巨体を瞬殺した、二人の剣士。
――ラディはただ愕然と、それを見ていた。
そして同時に――確信する。
ゼルビノの放った、一撃。
無影での、あの一閃。
……そう。
あれは、まさに『暗黒』そのもの。
そして……彼は、紛れなく――
「暗黒……騎士…………」

【座談会】
ラディ :……はぁ。
クレセント:………………。
ミレイユ :はぁ……。
作者 :はいはいはい♪ 座談会のお時間でっす☆ ……ん? どうした?
なんだか全身から疲れを放出してるみたいだが……。
ラディ :いや、さ……。ここのところ、ずっと戦いばっかりな感じがして、さ……。
クレセント:確かに。オクトクラーケン――いや、思えばボム戦の辺りからずっと戦闘ばかりだな。
作者 :う〜む……。そういえば、もう一つのオリジナル話も戦闘真っ只中だしな……。
いい加減、戦闘以外の話も書きたい、とは思うが。
ラディ :もしかして……次の話まで、戦闘あるのか……?
作者 :いや。流石に、ダムシアンに入った以上、しばらく戦闘は無いだろうな。
ラディ :そっか……。なら仕方ない、もう一踏ん張りするかな?
クレセント:うむ。……仕方あるまい。
作者 :納得してくれたか。これで――ん?
ミレイユ :はぁ…………。
ラディ :ミレイユが落ち込んだままだけど……。
クレセント:……どうした?
ミレイユ :どうしたもこうしたも……いーわよねぇ二人は。イラスト、描いてもらって。
二人 :うっ……。
作者 :なるほど……そういうことか……。
ミレイユ :そういうことか、じゃないわよ〜……。まあ、ラディは判るわよ、主人公だし。
なのに……なんで稀志乃さんに次のキリ番イラスト頼んだ時に、
私じゃなくてクレセントなのよ〜……。
ラディ :え……!? あ、あの銀髪の人……クレセントなの!?
クレセント:うむ。……まあ、この作品の中では――いや、ゲーム中ですら一度も甲冑を外していないからな。
作者 :しかも、この作品の中でも一度もクレセントの中身の描写はしていないというのに……。
オレが伝えたのなんて、せいぜい銀髪ってことくらいだぞ? にもかかわらず――
クレセント:ここまで精緻に、作者の想像していた私の姿を描き上げていただけるとはな……。
ラディ :これって、FF4愛――それに、オレ達のことも愛してもらってるって事だよな?
クレセント:キャラ冥利に尽きるとは、正にこの事だ……。重ね重ね、感謝する。……ありがとう。
ミレイユ :ありがとう……ってきれいに話をまとめるんじゃないのっ!! しくしく……。
作者 :まあまあ、次のキリ番は777番だそうだから、その時にミレイユを頼むって。
ラディ :そうだよ。もしそれを逃しても、きっと1000番辺りで踏んで頼むだろうし。
クレセント:777にしろ、1000にしろ記念的な数字だ。……ミレイユには相応しいだろう?
ミレイユ :そう……よねぇ♪ そうよねそうよねぇ♪ よっし、だったら待つわっ☆
ラディ :……なんとか、誤魔化せた……。
クレセント:うむ。……人生を生きていくためには、時に方便も必要だからな。
作者 :キリ番踏むなんて、そうそう簡単に出来ることじゃないからな。……まあ、一応頑張っておこう。
ミレイユ :それじゃっ♪ さっさかさーっといつもどおりの座談会スタートッ☆
ラディ :しっかし……今回もまた……尋常じゃなく長かったなぁ……。
クレセント:概算しても、恐らく今回の話は第一話の5倍はあるだろうな。
作者 :仕方ないだろ? ……文章が乗ってくると、ついつい書き込みすぎるんだよ。
ラディ :でも本当は、この話は二話構成だったのを一話にしたんだろ?
作者 :ああ。………………ハッ!?
ミレイユ :やっぱりね〜……。
クレセント:語るに落ちるとはこの事だな。
ラディ :でも、何でわざわざ二話分を一話に濃縮したんだ……?
作者 :仕方ないだろ? ……これから、大体十二話分くらい先の構成を練ってたら、
どうしても閑話休題で上手いこと区切るためにはちょっと詰めていかないといけないんだから。
ミレイユ :自分で設定考えすぎたからでしょ? ……まったく……おかげで私、今回いいこと一つも無いじゃない。
お尻はびしょびしょだわ、糸は切れるわ、あげくに砂をぶっかけられるわ……。
ラディ :そういえば……ミレイユのローブの下の格好って、今回が初めて出てきたんじゃない?
クレセント:確かに。……FF3の学者のローブ、ということくらいしか判明していなかったからな。
ミレイユ :そそそ、それなんだけど……よくよく考えたら、FF3プレイして無い人からすれば、
このローブって全然想像できないんじゃないの?
作者 :ああ、確かに前に、オフの知人に言われてな……だから、ドット絵の素材を持ってきた。
これがFF3の学者のドット絵だ。
ミレイユ :ちなみに、このドット絵の学者は男なんだけど……一つ、いいかしら?
ラディ :あ、オレもちょっと思ったんですけど……。
クレセント:奇遇だな。……この絵を見て、私も思ったところがある。
作者 :な……なに?
ミレイユ :この『赤いローブ』……っていうかこれって……ガウンじゃないの?
ラディ :この『紅いローブ』って……形、どっちかっていうとガウンじゃ……?
クレセント:このローブだが……形状としては、ガウンの方が正しいのではないか?
作者 :3人そろって同じ事を言うなッ!! ……まあ、そうかもしれないけど……。
仕方ないじゃないか、オレあんまり服装のこと詳しく無いし……。
ミレイユ :実は私のこのガ……ローブの下の服装も、表現する言葉が見つからなかったからなのよね。
今まで公開されなかったのって……。
クレセント:タートルネックのニットワンピース……だったか? 砂漠では少々、暑いと思うが……。
ミレイユ :まあね。……でも、別に私、ダムシアンだけを歩き回ってるわけじゃないし……。
旅してると、どうしても服をたくさん持っていくってワケにもいかないしね……。
あ、そうそう。このワンピ、色は黒よ♪ オーバーニーはまあ……基本どおり、白で。
クレセント:基本?
ミレイユ :そそそ。
こう、スカート部分まではわずかに到達していないから……こう、わずかにオーバーニーとスカートの間の部分がむき出しなのよね♪
確かこういうのがフェチにはたまらないんでしょ、ラディ?
ラディ :なんでオレに話を振るっ!?
ミレイユ :あら♪ おねーさんの眼はごまかせないわよ☆
たまぁ〜にだけど、ラディもちらちらと私のこと見てることがあるじゃない。
足を見てないって事は……やっぱり、胸? ニットで強調されてるしね〜。それとも腰のくびれとか?
ラディ :………………(赤面)。
クレセント:また……いいように遊ばれているな。
作者 :(こういう格好をさせてみたいっていうオレの願望だとはとても言えんな……)そ、それよりも、
自分で書いていてふっと疑問が寄ったんだが……。
クレセント:ふむ、何だ?
作者 :このFF4の世界って……女性の下着って、あるのか?
三人 :……ハァ?
作者 :いや、流石にパンツやショーツの類くらいはあるとは思うが……ブラジャーとか。
そもそも女性下着の歴史とかさっぱり知らないんで、どっちが先に生まれたのか疑問なんだが……。
ミレイユ :そりゃまあ、男でそんな歴史に異様に詳しかったらマズいわよねぇ、いろいろと……。
でも、普通に考えて……あるんじゃない? というか……無かったら一番困るの、私だもの。
ニット地の服でノーブラっていうのは流石に――
ラディ :ぶっ!! げふ、げふ……。
クレセント:……若いな。
ミレイユ :こればっかりはリディア同盟に聞きに行くわけにも行かないし……ま、あるってコトで☆
でないと『あのシチュエーション』が出来ないでしょ?
クレセント:……なんとなく想像は行くが……何だ、それは?
ミレイユ :もちろんアレよ。……『ラディ、ちょっとブラのホック留めてくれない?』
ラディ :ぶふっ!?
ミレイユ :で、とどめに『実はこれ、フロントホックなのよね〜♪』って……あ、気絶してる。
クレセント:どこをどうすれば、ラディがそういう状況に陥るか判らんが……。
ミレイユ :まぁ、ラディがこの調子じゃね〜……。第一、B89でフロントホックって自殺行為っぽいし……。
作者 :その辺りの感覚も、男のオレには判らん……。
クレセント:コホン。……あまりくだらない方向に話を進めているのも問題だろう。
それよりも今回登場したアルベルトとゼルビノのことについて触れなくていいのか?
ラディ :そ、そうそう! オレもそれ、ちょっと気になってたんだよ。
ミレイユ :って、鼻に詰めものして喋ってもりりしく無いわよ、ラディ。
ラディ :誰のせいだよ……。
作者 :そうだな、じゃあ説明しておくか……アルベルト・エンタープライズ。
そしてゼルビノ・チェンバース。……この二人は今回、特別出演という形で出てもらってる。
単発系の登場の割にやたらキャラが濃いのも、彼らがもともと別の作品の人物だからだ。
ラディ :それって……また、作者オリジナル?
作者 :いや、確かにオレが考えはしたんだが……これは緑魔道士さんという方のHP「アルティメットマジックU」
というところで現在作成中のテーブルトークRPGの設定募集の際に贈ったものだ。
それを今回、緑魔道士さんの許可を得て特別に出演させていただけることとなった。
ラディ :緑魔道士さんって……確か、このサイトのBBSに一番最初に書き込んでくれた人だっけ?
作者 :ああ。
クレセント:しかしその際に題名と本名の部分を見事に入れ間違えて、「ウヲ!?」として記録されている方だな。
作者 :あ、ああ……。
ミレイユ :しかもその時、小説の方も週末くらいにまとめて読みます〜って言って未だに読んで無いんでしょ?
作者 :ちょっと待て。確かにそれは疑問だったりしたが……まあ、あちらも都合があってだな――
ラディ :メガテンをやるっていう?
作者 :ああーもう! オレの肩身が狭くなるようなトークはやめいっ!!
クレセント:二人の詳細は、TRPGをプレイして感じてほしい……と宣伝を入れようにも、
肝心のコンテンツがもう一月以上更新が無い以上、プレイが可能になる日も未定だからな。
作者 :カンベンしてくれ……。あの人はオレの恩師なんだから……こういうかなりアレなネタは。
ミレイユ :ま、それもそうね♪
本当なら、ここで二人のこの小説でのパラメータとか、詳細な設定とかを詳しく書いていきたいところなんだけど……。
クレセント:そろそろ行数も押し迫ってきているしな。
ラディ :じゃ、これでお開きってことで。また次回!
ミレイユ :あ、そうそうラディ。今回の最後の方、ちょっと残念だったわよね。
ラディ :え?
ミレイユ :ほらほら。最後の方で、私をおぶってたでしょ? あれでもしラディが鎧着てなかったら、
背中越しに、こう上手い具合に私の胸の感触が――
ラディ :ごぶっ!?
クレセント:若いな。



