閑話休題 〜その五〜







エルナ :あ、姉さん。そこの味ぽんとってくれる?
ミレイユ:はいどーぞ♪ ……じゃ、そろそろ白ねぎちゃんはいけるかしら♪
ラディ :この……うどんがまた。野菜のエキスが染みてて……ぽん酢とよく合う……うまっ。
作者  :ってか、お前らは一体何をやっとるんだぁぁぁぁっ!! 閑話休題やっとるだろうがぁぁぁっ!!
エルナ :今回の閑話休題は鍋を食べながら行なうって、台本に書いてあったけれど?
作者  :え? えっとなになに、確かに……って、誰だこんなふざけた台本考えたのはっ!!
ラディ :お前だお前ッ!! っとと……白菜白菜。
ミレイユ:あー……だって作者、今日の夕飯も鍋だったからねぇ……。あっ♪ お肉発見っ♪
作者  :な……なんつー生活感丸出しな閑話休題なんだ……自分で書いててつくづく。
     というか、クレセントはどこだ……?
ラディ :さあ……? そういえば、姿を見ないけど……。
ミレイユ:今回の閑話休題は二十五話と同じ時間軸に収録してるから、クレセントはいないわよ?
     代わりに白妙さんが、先刻から私たちを見てくすくす笑ってるけどね♪
エルナ :同じ時間軸ならその話の内容を私たちが知っているはずが無いんだけれど……
まあ、元々が遊びみたいな空間だから整合性を求める必要性も無いわね。
ラディ :しっかし……今回の話はまた凄いことになってたな……。カインさんをああいう風に書くなんて。
エルナ :カイン・ハイウインドといえば、大概の二次小説で孤高なるもの……気高い存在として書かれるわね。
     それでありながらローザとセシルとの三角関係に悩み、苦しむ……その二律相反アンヴィヴァレンツの中にある不安定さ、
     そうでありながらただ自らを貫いていく強さ……クレセントなら『賢き者』として捉えてもおかしくは無いと思うわ。
     ……なのに……。
ミレイユ:「愚か」「弱い」「セシルやローザとの関係は嘘」「惨め」「愚の極み」「矮小」「紙くずにも劣る」……。
     殆ど冒涜的なまでの言いっぷりね。というより……クレセントの言い方もかなり一方的に酷いわね。
エルナ :まあ、クレセントが「愚か」と判断した相手に対して本当に容赦が無いって言うのは、
     十二話や二十一話で散々に語られていたことだけど……。今回のものは流石に少し引いたわ……。
ミレイユ:機嫌の良し悪しで態度を変えるようなタイプじゃないしねえ……どうしたのかしら……。
ラディ :……けどさ。
ミレイユ:?
ラディ :読んでて思ったんだけど……本当にクレセントは、カインさんを愚者と思っていたのかな?
エルナ :……どういう事?
ラディ :最後にも言ってたけど……クレセントは「愚者には興味は無い」はずだろ?
     ……もし本当に愚者と感じたなら、いちいちあんな言葉を投げかけるかな、と思って……。
ミレイユ:……そういえば……そうね。そうかもしれないわね。
エルナ :……けど、だとすればクレセントは何を考えてあんな言葉を投げかけたのかしら?
三人  :…………………………。
作者  :ほら、考えるのもいいがとりあえず閑話休題を進めてくれ。ただでさえ人が少なくて進行が遅いんだから。
エルナ :ということは……今回の五話の見直しってことかしら?
ラディ :なんというか……前半、やたら長かった気がする……この二十五話くらいだと元に戻ったけど。
エルナ :……五話の文字数の総計が、95886文字。それにこの閑話休題が約5000文字はあるから……。
ラディ :じゅ、十万文字……?
ミレイユ:原稿用紙に換算すると……400字詰めで250枚。ちょっとした投稿用長編クラスの長さってことかしら?
ラディ :長い……そ、それはただひたすらに長くないか……連載ものとしては……。
ミレイユ:しかもそのうち、前半の三話だけで四分の三は使ってるから……あのペースなら実際はもっと多いわね♪
作者  :妥協のないクオリティ! これこそがオレの文章だ! えっへん。
エルナ :とはいえ、実際には一度連載を遅延させたんだから決して褒められたものではないけれど。
作者  :あああっ、もうそれは済みません済みません……。
ラディ :……けど、この五話分はいろいろな意味でキーとなる部分が集約されているって話だけど。
ミレイユ:そうね……このアフターストーリー立案時にすでに考えていたものとしても、
     私の過去の一部の公開、ラディの暗黒剣習得、昇星の夜……
ラディ :ビフォアストーリーも始まったし……。今回の話で、クレセントの目的もはっきりしたし。
エルナ :ゼロムス……この登場も最初から考えていたことなのかしら?
作者  :うむ。……これもFF4リディア同盟でちょろっと語ったんだが……やっぱりゼロムスは、
     光とか闇とか関係ない『真の悪』――この世界そのものの敵という存在に近いだろう?
ラディ :まあ……少なくとも共存は出来ないな。
エルナ :たとえ憎しみや怒りの感情が人間の根源を成す感情の一部だとしても、それを知っていることと
     それに呑まれてしまうことは決して同意義ではない。――少なくともそれを知らないでいる人間は、
     思い上がりもいいところの馬鹿ね。個性と粗暴を同一視しているのと同じだわ。
作者  :そう。……それなのに「暗黒剣は真の悪を倒せない」。
     「相対する存在があってのクリスタルなのに、何故かあの場面のクリスタルだけは光しか存在しない」。
      ……どーも製作者のあからさまな悪意を感じて、な。FFは勧善懲悪なんていう簡単な話じゃない。
      けれど4だけ……FF4だけがそう見えるような観念的なものが多すぎる。光を善、闇を悪とした。
      だからこの話を書いたのであり、こういう展開へと進めていくこととなったんだが……。
ミレイユ:それはまー、別にいいけど……。
ラディ :いいのか……?
ミレイユ:だって考えてもみなさいよ♪ 
     実際のところ、今まで旅してきた中で戦ってきてる相手……ゼムロスより強いわよ?
エルナ :そうね……現実的パラメータで考えれば、オクトクラーケンなんかはまさにその筆頭ね。
ラディ :いやというかそれ以前の問題が……。
ミレイユ:私が気になってるのはそれより……この作品のラストなんだけど。一体、いつ終わるのかしら?
     てっきり私は、ラディが暗黒騎士になった! やったー!! そして新たな明日へ!!
     ……っていう、まるで十週打ち切り漫画ヨロシクな内容を考えてたんだけど♪
ラディ :なんでオレの暗黒騎士になりたいっていう目標が十週打ち切りなんだよ!?
エルナ :そうよ姉さん。こんなの、月刊誌で二回読みきりにしかならないわ。評価は正当に下さないと。
ラディ :……ああ。今日は……うん。色々疲れたけど……でも頑張るよ……うん……。
ミレイユ:うわぁ……部屋の隅で胡坐の上にサボテンの鉢植えをそっと置いて、優しく語りかけてる……。
エルナ :本当に地味な性格なのね……。というかかなりリアルすぎる描写だと思うんだけど。
ミレイユ:そこがイイのよ♪
エルナ :姉さんの感性は本当に判らないわ……。
ラディ :……まあ、冗談は置いといて……と。でもどうやら、それで終わりにはしないみたいだよ?
ミレイユ:ということは……作品中の中で暗黒騎士になった後、さらに続くって事……?
エルナ :いずれゼロムスとの直接対決も可能性としてはあるということね……。
     面白いわ。……たとえ完全暗黒物質だろうと、私の知能にかなうと思っているのかしら?
ラディ :それと離れたところだと……そうそう、とうとうクレセントの素顔も明らかになったよな。
ミレイユ:まあ、イラストで実際はかなり前から公開されてたんだけどね♪
エルナ :そういえば、今回も今回でまた稀志乃さんから設定をもらったそうだけど……。
     あの『黒い甲冑が白い布になる』っていう設定はあのイラストでクレセントが白い布を持っていたから、
     それを逆に設定の方に後付で組み込んだそうじゃない。
作者  :ああ……まあ。稀志乃さんは一応、月での生活用としていたんだが……ちょっと創作欲が。
ラディ :あれって……前にクレセントがオレの小手を修復した「メタモルフォーゼ」と同じ原理?
ミレイユ:まあ、それもあるみたいだけど……。あの布自体が、月の魔道・科学的技術の結晶みたいね。
エルナ :あの甲冑は紛れなく金属製のものだった……ということは、あの布自体に金属的特性を持つ元素が存在する?
     いえ……それ以外の形態が取れるなら、無論その元素も内包して……それを持ち主の魔力で形態移行する。
     『魔導』に利用することは出来ないかしら……ああ、一度解体してみたい……。
ミレイユ:こらこら。
ラディ :……そういえば……。この設定が後付なら、元々作者が考えていた設定ってどんなだったんだ……?
ミレイユ:ふっふっふっ♪ じゃ〜ん♪ 実はさる筋から、その初期設定に関する資料をゲットしてきたのよ♪
エルナ :あら? 私も初期設定に関する資料を入手したんだけど……?
ラディ :……? こんなところに書類が……。『クレセントの甲冑に関する初期設定資料』……?
ミレイユ:……三人とも、資料を持ってて……しかもそれが全部違う……って、どゆこと?
エルナ :まあ、開けてみれば判ることじゃないかしら?
ミレイユ:ま、そうね♪ ……じゃあ私から。えっと……
    [『ムーンクリスタルパワー・ウェイクアップ!』の掛け声とともに黒い甲冑を身に纏うことで、
     闇と知識の黒甲冑美壮年戦士ゴルベーザに変身。決め台詞は『月に変わって……私が相手しよう』。
     必殺技は『ムーンクリスタル・ダークネスコレダー』]……って……あのねぇ……。
エルナ :私のものは……。
    [『月射蒸着!』の掛け声により、宇宙魔道士ゴルベーザは月のエネルギーから精製される黒い重甲冑を
     わずか0.01秒により『月射蒸着』を完了する。攻撃力の高い攻撃魔法・専用の『魔導船』に乗り、
     トールハンマーにエネルギーを溜めることによる『クレセント・ダーククラッシュ』が必殺技]……。
ラディ :オレのは……
    [とある大企業の作り出した『ゴルベーザギア』に、『コードゴルベーザ』入力により――あああっ!!
     なんなんだこれは、この設定はッ!!
ミレイユ:作者の嗜好がよく判る設定ねー……。
エルナ :作者の場合、これを本当にやりかねないから恐いわ……。
作者  :常識に捕らわれない新しい発想。それこそがオレの小説ッ!!

――ざしゅがしゅがしゅッ!!

作者  :げああああ……ッ!
エルナ :冗談はいいわ。で、本当の設定はどこにあるの?
作者  :こ、ここ……に……っ……!
ミレイユ:っと……なになに?
ラディ :ううっ……引止め役のクレセントがいないと、本当に容赦がないな……。
ミレイユ:えっと……『甲冑は自在に形態移行することが可能』……あら、このあたりは変わらないわね。
     あ、でも注釈があるわ。『ただし形態移行したその最小の形は……眼鏡である』。
ラディ :また……眼鏡?
エルナ :私達姉妹もそうだけど……そんなに眼鏡ばかりに執着して何がしたいのかしら?
     眼鏡なんて単なる視力矯正のための道具でしか――
作者  :違ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああうっ!
三人  :!?
作者  :お前たちは……お前たちは眼鏡の偉大さをまったく理解していないというのか!! ならば語ろう!
     この! オレが!! アルの名を負う、他ならぬこのオレがな!!
ミレイユ:な、なに、この圧倒的気迫……!?
ラディ :いつもの作者じゃない……この迫力……吹き飛ばされそうだ……!
エルナ :あれだけダメージを与えたのに……この再生、早すぎる……!
作者  :そもそも眼鏡は単なる装飾具などではないそれは眼鏡が人類の歴史が始まってからその手で創造したものとして
     唯一それが神の領域へと到達することの出来た究極の装飾品だそれはまさに真理何故なら眼鏡は人の美しさを隠
     す仮面としての役割を果たしていながらも透明なレンズがその素顔を隠さぬという矛盾を持っているが故に対象
     の美しさを引き立たせ同時に相手にその素顔を自らのものだけにしたいと思わせるほどの魔性的魅力を備えてい
     るそれは俗に言うチラリズムの原点ともいえようそもそも眼鏡のレンズが透き通っているのはただ単に装着者の
     顔を見せるだけではなくその奥に装着者の本当の姿心の仮面を取り外した真の姿を映し出しているからだ仮面で
     あったはずの眼鏡がその装着者の心の仮面を外すという神秘性は決して軽視していいものではないそしてそれを
     見ることが出来るのは眼鏡を着用しているものの特権真に眼鏡を愛せし者にのみ許される特権そう眼鏡は人類の
     希望そして浪漫先人は言った眼鏡っ娘は昭和の昔より脈々と受け継がれてきた昭和浪漫と嗚呼そもそも眼鏡キャ
     ラはよく重要な場面で眼鏡を外したりするがそんな奴は断じて眼鏡キャラとは言えない重要だからこそ外しては
     いけないだろう眼鏡というものはその為人を最も表すものだろう眼鏡を外すと可愛いとか眼鏡を外した時が印象
     的などというやからは真理を理解できない屑の戯言例えるなら眼鏡無しの眼鏡キャラなど物理学者でもないのに
     ダイヤの構造である四個の価電子が四個の炭素原子と共有結合したあの模式図を見て美しいなどと言っているよ
     うなものそれは人間として根本的に――

ばがんっ!!

最恐姉妹:長いわぁぁぁぁっ!!
ラディ :じゅ、十四行……間違いなく、座談会でも最長の台詞だ……。
ミレイユ:エルナ、再生しない内にさっさと埋めるわよ。
エルナ :そうね。とりあえず中性子と一緒に埋めておけば早々簡単に再生できないだろうし。
ラディ :し、しかも容赦がない……。
ミレイユ:気にしない気にしない♪ さ、お鍋の続きといきましょ♪


そして、三十分後――


ラディ :……と、このあたりで……そろそろ、次の具を入れようかな?
ミレイユ:じゃ、ささっと食べちゃって……ん? は、ほほはへいひょっほひひあいほろはあふんはへほ。
エルナ :姉さん……まず口の中のものを全部飲みこんでから喋ってくれないかしら?
ミレイユ:ほんは……(プラカードを上げて)『こんなのそうそう簡単に飲みこめないわよ』
ラディ :ん? 白妙さん……そのお酒はもしかしてかの秘酒中の秘酒『新月の雫』?
ミレイユ:さて、さっそくじゃあ頂きましょうか♪
エルナ :……姉さん……なんでそう、自分に忠実すぎるの……ちょっと本気で悲しいわ……。
ラディ :エルナでさえこうなんだから、オレのこの情けない気持ち……読者のみんなも判るよな……。
ミレイユ:何をワケの判らないことを。……♪ っ〜♪ これが『新月の雫』……流石ね♪
白妙  :ふふ。……わらわの力をもってすれば、この程度のことは造作も無いことじゃ。
     してミレイユ殿。……聞きたいこととはなんじゃ?
ラディ :あのときのミレイユの台詞を解読するとは……さ、さすが……。
ミレイユ:そそそ♪ 何でか誰一人として疑問の声をあげなかったからちょっと作者も焦ったって話だけど、
     第二十三話でカイン・ハイウインドって音速を超えたんでしょ? あれってどういうことなの?
ラディ :あれは……多分『ジャンプ』だと思うんだけど……けどオレも暗黒騎士志願だったから、
     竜騎士の戦闘方法に関してはあんまり詳しいことは……。
エルナ :見る限り、あの動きは慣性の法則から解き放たれているとしか思えないほど無謬だったわ。
     けれど……私でもかすかな残影を追うのが精一杯だったし……。
白妙  :ふむ……ならば専門の者に尋ねてみてはどうじゃ?
ミレイユ:専門……?
白妙  :別世界の竜騎士に直接聞けば済むことじゃろう? その程度のことなら造作なく出来るぞえ?
ラディ :済むことって……そんなこと、やっていいのか……?
白妙  :ふふ……所詮は座談会じゃ。これくらいはめを外した方が興が出るというもの。……ほれ。

ばしゅっ!!

????:う、う〜ん……ここは……どこじゃ?
白妙  :どうじゃ? わらわにかかれば『異界召喚』とやらもこの通り。
ラディ :……っと……この見た目……赤い甲冑……白妙さんに何となく似た喋り……もしかして、この人って――
ミレイユ:赤竜騎士ね♪
ラディ :……は?
ミレイユ:だから、赤竜騎士。赤竜騎士に決定っ♪
赤竜騎士:勝手に決定するでない! 私にはれっきとした名前が――
白妙  :まあまあ、赤竜騎士殿。実は斯く斯く然々と言うわけで……。
ミレイユ:あれって、『かくかくしかじか』って読むのよね?
エルナ :しぃッ!!
赤竜騎士:……ふむ、そういうことか。ならば説明しよう。
ラディ :一体どうやって納得させたんだ……?
エルナ :あまり細かいことは気にしないほうがいいわ。……行数を使いすぎるのも問題だし。
ミレイユ:ちなみにこの『赤竜騎士』の正体、判った人にはもれなく豪華景品が――
ラディ :無いから。いや、本当に。
エルナ :……というか、判ると思うけれど……作者、FF9好きなんだし。
赤竜騎士:コホン……あー、よろしいか? ジャンプとは本来、高く飛翔することにより、
     落下時のエネルギーを加えることで通常攻撃の倍以上の破壊力を引き出すという竜騎士の技じゃ。
     だが、これでは少々説明の付かない事態がゲーム中には存在しておる……。
ラディ :確か……バハムートの『メガフレア』やゼムロスの『ビッグバーン』みたいな超威力の技さえも
     まったく影響が出ないほどの跳躍をしているとか、室内でもジャンプの滞空時間が変わらないとか……。
エルナ :一番凄いのは対デモンズウォール戦ね。デモンズウォールのクラッシュダウンさえもかわす『ジャンプ』……。
     けど、そもそもこのクラッシュダウンは、デモンズウォールがその壁としての体で相手を圧迫する技よ。
     しかもこのデモンズウォール戦は天井がある封印の洞窟の戦い。かわす場所なんてどこにも無い。
     そう……ただ上方に逃げているというだけでは、説明が付かないのよ。
赤竜騎士:うむ。……そのために作者はジャンプの設定を新たに練り直し……そして、既存の設定とはまったく違う、
     まさに『アル式ジャンプ』というべき破天荒な設定を考え付いた。それは――
三人  :それは……?
赤竜騎士:それは――『ジャンプとは文字通りただ跳躍するものではなく、その実態は空中を自在に飛行する能力』!!
三人  :なっ……何ーー!?
赤竜騎士:……いかにもアルの考え付きそうな馬鹿げた設定だが……
     あながちこれが間違っているとも言いがたい。そもそも竜騎士とは飛竜を駆り、大空を舞い――
     制空権を確保することによってその真価を発揮する戦士。……という設定らしい。
ラディ :ら、らしいって……。
赤竜騎士:仕方ないじゃろ。ブルメ――もとい、私の国の竜騎士は飛竜なぞそもそも存在しとらんのじゃし、
     FF4でもわずかにその設定を文書として残すのみ……カインが飛竜を駆るシーンがあったか?
ラディ :そういえば……確かに。陸兵団にいたけど、そんなことは一度も……。
赤竜騎士:そんなあやふやな設定で、果たしてバロン王国で『蒼い稲妻』と呼ばれるほどの精鋭部隊として成立するか?
     答えは否――隊長のカインでさえも幻獣討伐に徒歩で向かうようなほど飛竜が枯渇しておるのじゃから。
     つまり別の手段で制空権を確保する必要がある。そのために編み出されたのが『ジャンプ』というわけじゃ。
エルナ :そういえば……FF2のリチャードは飛竜を持っていた代わりにジャンプが出来なかったわね。
     代わりに、他のFFで登場する竜騎士には飛竜は居ない代わりにジャンプが出来る……。
     リチャードがジャンプを使わなかったのは、それを習得する必然性が無かったから……?
赤竜騎士:うむ。そして当初、アルもただ単に『尋常ならざる跳躍を行なう』という方向性で
     『ジャンプ』の設定を練っておったのじゃが……それでは映像として考えた時、少し情けない。
     それで詰まっておった時――とあるシーンの台詞を思い出したのじゃ。
三人  :それは……?
赤竜騎士:『フッ……空中戦はお前達のものだけではない!』
     『駄目だ、正面からは風で見えない! ジャンプで叩くしかない!』……。
     この二つから、「空中戦は単なる跳躍では務まらない」「ただの跳躍では風に流されてしまいかねない」
     「ならばジャンプとは、空中を慣性や重力を無視した高軌道で飛翔する力に他ならない」となって――
ラディ :め、めちゃくちゃだよ、この設定……。
赤竜騎士:……私もそう思う。しかも飛翔の推進力は「本人の精神力」じゃからな……。
     ちなみにこれで成層圏を突破したりすることは流石に無理でも、音速以上の速度で加速することが可能じゃ。
エルナ :そんな理屈で音速を超えられちゃ、たまったものじゃないわね……。
白妙  :う〜む……二人ともすっかり疲れた様子じゃし、ミレイユ殿はいつの間にか眠ってしもうておるし……。
ミレイユ:すぅ……すぅ……お、お酒ぇ〜……。
白妙  :この場合、確かお開きにするべきというセオリーじゃったか……?
赤竜騎士:そうではないのか? 私はそもそも初参加なのだからよく判らんが。
白妙  :まあ、どうでもよいか……では、これにてお開きとしようかの。
赤竜騎士:……? ちょ、ちょっと待て。私は一体、ここからどうやって帰れば――
白妙  :はて……どうしようかの?