「負けた……のか」
「……ええ。一対二であったにも関わらずこちらの惨敗でした。
 夜姫様達が来なかったら今頃は……」
三日月月夜が襲われ、しかも惨敗した事に辺りの雰囲気が重くなっている。
「時代遅れ、か……。アルと三日月ライダーシステムは二年前に開発された物だ。
 その後、半年程でバージョンアップした月夜ライダーシステムが開発された事を考えると確かにそうなのかも知れないな……」




魔法少女まじかる☆へぷーVS仮面ライダー169(アルキュン)

〜CROSSED TALES〜



第四話



マスター、そこをどうにか出来ないのか!?」
アルマスターに詰め寄る。
「……まず言って置こう。ライダーシステム自体を強化するのは俺には無理だ。
 それ程システムについての理解がある訳でも無いしな……
 望みと言えばブラスターだが、これは現在解析中だ」
「でもお姉さま達ならあの二人にだって……」
その言葉に夜姫月夜(白)は複雑な顔をする。
「確かにあの二人ならなんとかなると思うけど……」
「問題は、あの二人の『保護者』だね……」
ミストもその言葉に頷く。
月夜様と夜姫様でも歯が立たない、と言う事ですか!?」
三日月も驚愕を隠し切れないようだ。
今までにも月夜(白)が窮地に陥った事はあったが、それは三日月が枷になっていたからだ。
まともに戦って月夜(白)を上回る者など三日月の記憶には無かった。
ミスト夜姫月夜(白)が次々と口を開く。
「あの時感じた力は確実に『王』を上回っていました……」
「あたしも色々な人達……それ以外の存在もいたけど。
 それを含めてあたしが知っている中でもあの『保護者』の力は上位に入るわ。それもかなりの、ね……」
「あの力はもしかしたら『神』に匹敵……もしかしたらそれ以上なのかも知れないね……」
「それほど……なのか、ボク達が相手にしなきゃいけないのは……」
月夜(小)の顔が青ざめている。三日月も同様だった。
アルマスター、そしてみさきの三人は夜姫達の実力を直接知っている訳ではないが、
これから戦う相手の強大さ、そしてそれと戦わなくてはならない状況の深刻さは伝わったようだ。
辺りが重い雰囲気に支配される……

その時ドアベルがカラカラ、と鳴った。
マスターは慌てて顔を上げ、いらっしゃいと声を上げる。
入って来たのは二十歳程の男……新顔だった。
カウンターの席はアル達が支配していたのでその男はテーブルに着いた。
そして適当に選んだコーヒーを注文する。
マスターが注文を受けてコーヒーを淹れている間、皆無言だった。
暫くして注文の品が来ると男はそれに砂糖をスプーンに一杯入れてかき混ぜた。
「……随分と静かなんだね、こんなに人がいるのに」
男がコーヒーを啜りながらそう言った。
『馴れ馴れしい奴だな……』
それがアルのその男に対する第一印象だった。
男がコーヒーをテーブルに置く。
「おそらく全員が集まっている、って言うのにね……」
『……全員?』
皆がいぶかしむような視線を男に向けた。
「……気付いていないみたいだね」
三日月月夜(小)の中で何かが引っ掛かっていた。だが、それが何であるかまでには到っていない。
男は嘆息してポケットに手を入れる。
「……これなら分かって貰えるかな?」
ポケットから出され、その手に持たれていたのは白を基調として中心に紫色の紋様が描かれている携帯電話……
「……それは!!」
三日月はそれに見覚えがあった。
あのスラッシュと名乗っていた仮面ライダーのライダーシステム……
月夜(小)もそれに気付いたようだ。
「お前だったのか! あの白い仮面ライダー……スラッシュは!!」
その言葉に全員が身構え、辺りに緊張が走る。
アルがカウンターの席から立ち上がった。
「……まさか堂々と乗り込んで来るとはな……」
テーブルに着いていた男――スラッシュが立ち上がり、アルを手で制する。
「まあ、落ち着いてよ。別にここで争おうって訳じゃ無いから」
「ふざ……けるなっ!!」
激昂したアルスラッシュに殴りかかろうとする。
スラッシュはそれを難なく避けてアルの腹部に軽くカウンターの拳を入れた。
「ぐっ……!?」
そして動きの止まったアルの体を突き返す。
「外見がこうだからって舐めて貰っちゃ困るな」
ひょろりとした体に似合わない力と技術だった。
反射的に魔術使いの面々がそれぞれ思い思いの構成を組む。
「……コール」

「Noice」


スラッシュが何処からかカードを取り出し、呟くと辺りに機械的な音声が響いた。
それと同時にそれぞれの魔術の構成が崩される。ミストが行使しようとしていた術も同様に阻害されていた。
「「「「「!!??」」」」」
驚愕している魔術師達を横目にスラッシュは椅子に座り直す。
「だからここで争うつもりは無いよ」
『種類も効果も違う複数の構成に割って入った!? そんな魔術、聞いた事が……いえ、違うわね。おそらくこれは……』
「魔術構成に割って入り無効化するのではなく、術者自身の思考や集中を乱して構成の展開、維持を阻害する。……そんな所でしょう?」
夜姫の言葉にスラッシュは感心したようだった。
「お見事。流石に貴女は聡明ですね、『黒の魔女』――夜姫さん?」
「……さっきのあなたからは魔力の欠片も感じられなかった。
 精神ごと魔術構成を封じて、尚且つ通常のスクロールでは考えられないその大きさ。そんな物があったなんてね……」
「幾ら貴女が博識でもまだまだ知らない時代や世界、技術がある……そういう事ですよ。
 ……さっき使ったのが攻撃用の物だったら何人かを仕留める事が出来ました。
 それをしなかった理由は御分かりですか?」
「……あなたの目的が私達自身ではないから……おそらく取引の類でしょうね」
スラッシュが頷く。
「ええ、今日来たのは話し合いをする為……争うつもりはありません」
「いいわ、聞きましょう」
「お姉さまっ!?」
「大丈夫よ、月夜。おそらくこの子は私達に危害を加える気は無い。
 それに今争ったら確実に何人かが犠牲になるわ。それだけは避けたい」
「確かにそれは僕も望む所じゃないしね」
一同は警戒しながらも席に着く事にした。


「で、話ってのは何なんだ?」
マスターが睨みを利かせながら尋ねる。
「休戦……と言うより停戦条約ですね。
 こちらの言う条件を呑んで貰えれば僕達はこれ以上危害を加えません。すぐにでも去ります」
「……その条件は?」
「全てのライダーシステムとそちらの人が持っている宝珠の引渡しです。
 ライダーシステムに関する資料や知識の消去も含めて、ね」
スラッシュみさきに視線を向けながら淡々と話す。
「……何の為に、ですか?」
三日月が問う。
「壊す。跡形も無く、完膚無きまでに。
 そもそもライダーシステムのような物がある事自体がおかしいんだ」
スラッシュの眼は真剣だった。
「……ああ、それから条件がもう一つ」
「……それは何ですか?」
スラッシュはスプーンでミストを指した。全員の注目がミストに集まる。
THATの分身である貴女の身柄の拘束だ」
「!? ミストさんをどうするつもりだ!!」
アルが叫ぶ。
「それはグラ様に伺いを立てないと分からないな。
 生涯を監視付きで過ごすか、若しくは監禁……場合によってはその命を絶って貰うかも知れない」
「ふざけるな!何故そんな事をする必要がある!!」
「危険だからだよ。ライダーシステムもその宝珠も、そしてTHATの分身もね……
 仮面ライダーの君達だってTHATの危険さは知ってるだろう?」
「……確かに『王』は危険な存在だった。でもミストさんは違う!」
「アルの言う通りだ。ミストさんはボク達の世界で静かに過ごす事を望んでいるんだ。
 『王』の野望を実行する気なんて無い!」
アル・フェイルが危険だなんて……そんな事あるはずがないよ!
 確かに時々変だけど……私を護ってくれたんだから!」
ライダーシステムは俺の親友が平和を守る為に作った物だ。
 あいつの平和を愛する気持ちは誰よりも俺が知っている。
 それが悪しき物であるはずが無い!!」
スラッシュが俯いた。
「……君達は……何も知らないからそんな事が言えるんだ……」
その拳には力が込められ、強く握られている。
「……とにかくミストさんはオレ達の仲間だ。見捨てる訳にはいかない!」
アルの言葉に一同が頷いた。
スラッシュが勢い良く立ち上がってテーブルに一番額の大きい硬貨を叩き付ける。
「……交渉は決裂したようだね。残念だよ……
 今度会うときは敵同士だ。その時は……容赦は、しない……!」
そして一枚のカードを取り出す。
「コール」

「Void」


転移系の物だったのだろう。スラッシュの姿がその場から消え去った。




『危険、か……』
帰り道、アル169フォンを見ながらスラッシュの言葉を思い出していた。
「……ねえ、アル・フェイル。何か危険だって言われる心当たりは無いの?」
『……いや、無いな。何故奴がそう言ったのかは検討もつかん。
 アル、THATとか言う奴は何をしようとしたのだ?』
THAT――『王』は世界を一度滅ぼして自分に都合の良いように作り変えようとしていたんだ。
 ……二年前にオレ達が阻止したけどな」
『むう、そんな奴と同系列に危険視されるとはな……』
アル・フェイルには……そんな事出来ないよね?」
『当たり前だ。私が出来る事の範疇を超えている』
「……じゃあ、別の理由なんだろうね」
「それが何かが分かればいいんだけどな……」
アルみさきは駅までの道を歩いて行く。
『しかし奴らの狙いははっきりとした。交渉が決裂した以上どんな手段に出てくるか分からん』
「いつ何処で襲ってくるか分からないって事だな」
「連絡手段はしっかり確保しておかなくちゃね」
みさきの言葉にアルが頷いた。
やがて目的の駅まで辿り着く。
「……じゃあアル君、ここで」
「ああ……気を付けて下さい、みさきさん。直接戦闘ではみさきさんは不利なんですから」
「大丈夫。その時はちゃんと連絡するから」
「オレもその時はすぐに駆けつけます」
「ありがと。それじゃ……」
その時、辺りが『音の無い世界』に包まれる。
『へぷー、敵だ!!』
アル169フォンを操作してドライバーを装着する。
建物の上から飛び降りて来たのは黒の仮面ライダー、しるぴんだった。
「よっ……と」

「call 169 …standing by…」


みさきさん!」
「うん、分かってる!」

「シェイプチェンジ! へぷー・まじーっく!!」
「変身!!」

「Complete!」


「片手にステッキ、心にファンシー、唇に笑顔をたずさえて……
 愛と! 勇気と! ファンシーの伝道師!
 まじかる☆へぷー!ここに推参っ!!」

「うわぁ……テレビで見たのとおんなじだ。ホントに決めゼリフって言うんだね」
しるぴんが目をキラキラと輝かせながらへぷーを見る。
「何か……」
「やりにくいね……」
『おい、へぷー! アル! あいつの目的もスラッシュとか言う奴と同じだと言う事を忘れるなよ!』
「あ、そうだった。えーと、そのステッキとライダーシステム、ボクが貰うよ!」
アルがセイバーにミッションメモリーをセットする。

「Ready!」


「ネイル・オン!!」
それを見たしるぴんも自らの武器を用意する。
アル・フェイル、私達も……」
『待て、へぷー。ハートブレイドは長くは維持出来ん。我々は後方支援に回るべきだ』
「ううっ、直接戦闘向きじゃないもんね、私達……」
みさきさん、オレが隙を作りますからそこにマグナムを撃ち込んで下さい。出力はあなたの方が上ですから」
『そう言う事だ』
「……そろそろいいー?」
しるぴんは律儀に待ってくれていた。
「ああ、いくぞ!!」
アルしるぴんに向かって走り出す。
「ハアァァァッ!!」
「むむっ!」
アルの斬撃は左の爪で受け止められた。
「やあっ!」
緊迫した戦闘にはやや相応しくない雰囲気の掛け声とともにしるぴんが残った右の爪を振り下ろす。
アルは体を捻じってそれを躱し、渾身の力で蹴りつけた。
しかしそれをまったく意に介していないかのようにしるぴんが反撃する。
「バレット!」
爪がアルを捉える前にへぷーが援護に放った小規模な光弾が着弾した。
その隙にアルしるぴんから離れる。
「邪魔しないでよー」
ぶう、と頬を膨らませながらしるぴんがへぷーに文句を言う。
三日月の言った通りだな。守りが堅い。それにパワーもある。
 やはり長期戦は不利だ、一気に決める!!』
そしてアクセルメモリーを取り出してフォームチェンジする。

「Complete!」


しるぴんもそれに気付いたようだ。慌ててアルに向かって駆ける。
『遅いっ!!』

「Accelerate!」


加速状態に入り、しるぴんの動きが鈍く感じられる。
三日月の予測通りこのスピードには追い付けないようだな……!』
スピードがあるとは言ってもアクセルフォームには及ばない。
アルはセイバーでしるぴんに斬撃の嵐を浴びせる。
「いたたっ!?」
効力は薄いようだったが、逆に言えば少しは効いていると言う事だ。
しるぴんがうずくまり、守りを固める。
『へぷー、今だ!!』
「でも、アル君に当たったりしないかな……」
『大丈夫だ、あのスピードなら余裕で避けられる!』
「よぉーし! ファンシーマグナム・ソウルバレットぉっ!!」

ばしゅううっ!!

ステッキから光弾が撃ち出される。
しかしその前にしるぴんは腰のケースから何かを取り出していた。
「コール!」

「Invisible」


そしてその姿が消え去り、光弾がしるぴんのいた空間を素通りして行く。
加速中のアルも面食らっていた。
『まさか、逃げた!?』
辺りを見回すがどこにもしるぴんの姿は見当たらない。
『Invisible……確か意味は……』
思考の途中で右足を掴まれる。
『目に見えない、だ!!』
先程使用されたカードの効力を理解したアルが足を掴んだ手を振り払おうとするが、びくともしない。
その時既にしるぴんの姿は露わになっている。
そのまま地面に仰向けに倒されて勢い良く振り回された。
『くそっ! されている事が分かってても対処出来ない!』

「3…」


しるぴんの手が離され、建物が徐々に迫って来る。

「2…1」


アルは辛うじて壁に足から着地し、勢いを殺した。それでも相当な反動が足に返って来る。

「…Time out…」


地面に降り立つと同時にアクセルフォームが解除された。
「ふふーん、どお?」
自慢気にしるぴんが胸を反らせる。アルは焦っていた。
『どうする……? 三日月月夜が敗れた相手だ。
 アクセルフォーム無しでは勝ち目は無い……』
「ファンシーマグナム・ソウルバレットっ!!」
へぷーの放った一撃もしるぴんは難なく躱す。
『まともに撃って当たってくれる相手では無いぞ!』
「も、もしかして……ピンチ?」
「じゃあ……いっくよぉーー!!」
しるぴんがへぷーに向かって跳ぶ。
「ハンマー・チェック!!」

「Exceed charge!」


しるぴんの武装全てにはミッションメモリーが挿し込まれている。
「ええぇぇぇぇぇぇい!!」


「Exceed charge!」



その時、空中のしるぴんに何かが当たり、爆発を起こす。
更に別の閃光が追い討ちをかけた。
みさきさん、無事でしたか!?」
「危機一髪、だな。アル」
シルフィードを装着して銃とムーバーを手にした三日月月夜が立っていた。
二人が同時にシルフィードを解除する。
「いったあ〜〜い……」
気の抜けるような声と共にしるぴんが起き上がる。先程の攻撃もフィールドに阻まれて大して効いていないようだった。
「今からは私達四人がお相手します!」
「今度は前のようにはいかないぞ?」
しるぴんが眉をひそめた。
「四人でも……大丈夫だもん!!」
しるぴんが腰から短剣のような物を取り外した。
「アロー・オン!!」
「させません!」
三日月バーストモードにセットしてある392フォンと『タスラム・リボルバー』の二丁拳銃、
月夜シングルモードのムーバーが弾幕を張る。
しるぴんはそれに耐えながら三日月達に向かって連続で矢を放った。
三日月は横に回転しながら飛び退き、膝をつきながら更に連続射撃を浴びせた。
「うぅーーー!!」
痺れを切らしたしるぴんが弓で防御しながら三日月に突進する。

「Ready!」


ムーバーを収納し、アクスにミッションメモリーをセットした月夜しるぴんに駆ける。
それを見た三日月392フォンを収納してリボルバーで銃撃を精度良く行う。
「はあああああぁぁぁぁぁっ!!」
月夜がアクスを横に薙ぐ。
しるぴんは弓の刃になっている部分でそれを受け止めた。
しるぴんがそのまま引き絞った矢と三日月の銃撃が同時に着弾する。
アルはその内にミッションメモリーをスピアに付け替えていた。

「Ready!」


「ファンシーマグナム・ソウルバレットっ!!」
へぷーも月夜しるぴんから離れたのを確認すると光弾を撃ち出す。
しるぴんは慌ててそれを避けた。
「もうこうなったら……」
しるぴんが腰のケース――パンドラ・ボックスから一枚のカードを取り出し、461フォンの前に通す。

「Boost」


カードが光に変化し、しるぴんが手にした弓に宿った。
「アロー・チェック!!」

「Exceed charge!」


弓に光が収束し、放たれた。放たれた矢が虎を象り、咆哮を上げる。
「……こいつは!」
以前アルが対峙した『虎』だった。
しるぴん三日月を指差す。
「やっちゃえ、『コーリングビースト』!!」
その指示に従い、『虎』が三日月に襲い掛かる。
三日月っ!!」
月夜が援護に回ろうとするが、しるぴんが放った矢に阻まれた。
「アロー・チェック!!」

「Exceed charge!」


先程より小さな『虎』が月夜に襲い掛かる。
へぷーとアルも援護に駆けつけようとした。
「アロー・オン!!」
今度は子猫程の大きさの物が複数へぷーに飛び掛かる。
へばり付いたそれがへぷーの動きを封じた。
「きゃ……ちょ、何コレ!?」
みさきさん!」
アルがそれを一匹スピアで突き刺し、残りを蹴り飛ばし、引き剥がす。
その隙にしるぴんアル達に向かって走っていた。
「インパクト・オン!!」
アルはへぷーを抱えるとしるぴんの頭上を飛び越えた。
しるぴんの拳が空しく宙を切る。
「やあぁぁぁっ!!」
月夜がアクスで『虎』を両断した。
そのままへぷーとアルと同様に『虎』と対峙している三日月に駆け寄る。
それを察した『虎』は一旦しるぴんの元に戻った。
三日月、大丈夫か!?」
「ええ、それよりも聞いて下さい。
 通じるかどうかは分かりませんが策を一つ思い付きました」

しるぴんはもう一枚『Boost』のカードを取り出すと『虎』を更に強化した。
そして『虎』に指示を出し、一呼吸遅れて自らも走る。

「Exceed charge!」


「オオオオオオオォォォォォォッ!!」
アルが『虎』に向かって突進する。
エネルギーを放出せず、全ての力を穂先に集中した『フェンリルクラッシュ』が『虎』とぶつかり、拮抗する。
「ネイル・オン!!」
しるぴんが飛び上がり、アルに爪を向ける。
「リボルバー・オン!!」
三日月は銃身から放たれた光線をあたかも巨大な刃であるかのように振り払った。
その光線を一瞬浴びたしるぴんの体の動きが止まる。
「アクス・チェック!!」

「Exceed charge!」


月夜に続いて三日月もエネルギーをチャージする。

「Exceed charge!」


「はああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!」
「……ッ!!!」
背負うように構えた月夜の斧が勢い良く振られ、衝撃波がしるぴんを襲った。
同時に三日月もエネルギーが込められた弾丸をしるぴんに向けて撃つ。
「ファンシーマグナム・ソウルバレットぉっ!!」
一瞬遅らせてへぷーが巨大な光弾を撃ち出した。
月夜の『ブルタールティーア』が、三日月の『バーストストリーム』がしるぴんに続けて当たり、強固な守りを一瞬突破した。
そして無防備になった所にへぷーが放った『ファンシーマグナム・ソウルバレット』が直撃する。
「あ……ああぁ……」
光弾の直撃に461フォンが悲鳴を上げる。
そして光が弾けると同時に461フォンが限界に達し、しるぴんの変身が解除された。同時に『虎』も消滅する。
地面にしるぴんの体と461フォンが投げ出された。
「う……あぁ……」
しるぴんが地面に落ちた461フォンを掴んで変身コードを入力する。
しかし、壊れた461フォンがそれに反応する事は無かった。
「動いて……動いてよぉ……」
なおもコードを入力するが、結果は変わらない。
「……いやだよ……せっかく帰る場所が出来たのに……ボクを受け入れてくれたのに……
 ……また無くしちゃう……一人になるのは……いやだよぉ……」
涙をぼろぼろと流しながらしるぴんはコードを入力し続ける。
「……っ……」
力尽きたしるぴんが動かなくなった。その手に461フォンを固く握り締めながら……
四人がしるぴんの元に駆け寄る。

「……これは……」
そこに倒れている少女には確かに猫の耳と尻尾が生えていた・・・・・・・・・・・・

「変身は……解けているよな?」
「ええ。……しかしこの耳と尻尾は……」
「それよりも今はこの子の手当てをしなくちゃ!」
「……そんな事して大丈夫ですか? みさきさん……」
「アル、こいつのライダーシステムは壊れてるんだ。危険は無い」
「色々と聞きたい事はありますが……今はこの子の容態が心配です」
「……そうだな。放ってはおけない。……オレが運ぶ」
アルしるぴんを背負い、なるべく揺らさないようにシルフィードマスターの店に向かった。
へぷーは月夜が背負い、三日月もそれに続く。


――その間もしるぴんは461フォンを決して手放そうとはしなかった――





    

    

    


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この作品は、下記サイトの創作物の設定・キャラクターを二次創作利用させて頂いてます。