魔法少女まじかる☆へぷーVS仮面ライダー169(アルキュン)

〜CROSSED TALES〜



第三話



「オオオオォォ!!」
アルがへぷーに向かって突進する。
迎撃するのは不可能だと判断したへぷーは自らも前に踏み込んだ。
そして鎧に覆われていない腹部に正拳を叩き込む。
アルはその衝撃に顔をしかめたが、それに耐えて拳を振り下ろして反撃した。
肩にその一撃を受けたへぷーは思わずステッキを取り落としそうになった。
それを好機と、アルがラッシュを掛ける。
へぷーはそれを凌ごうとするが、ステッキで片手が塞がっていたので圧倒的に不利だった。
『……アル・フェイル、ごめんっ!!』
へぷーは手にしたステッキで思い切りアルの顔面を叩く。
『ぐほぉ!?』
「ぶっ!?」
ステッキとそれを叩き付けられたアルが鈍い悲鳴をあげる。
へぷーは相手が怯んでいる隙に腹部を力の限り蹴り付けた。
そして相手から一度距離を取る。
『おい、へぷー! 私をそのまま武器に使うな!! 壊れるかと思ったぞ!?』
ステッキから非難の声が上がる。
「ごめんっ! でもあの子が来るよ!?」
先程までの攻撃も効果が薄かったようだ。
どうやら肉弾戦ではへぷーの分が悪いらしい。
『ええい、説教は後だっ!!』
ステッキはそう言うと指向性を持たせた光をアルに放った。
相手がそれに目を眩ませている内にへぷーは更に距離を取り、必殺技の準備をする。

「心に巣食う欲望のかけらたちよ……」
へぷーのステッキの柄が短くなり、そして装飾部の先からピンクの刃が飛び出した。
『……剣かっ!?』
その刃から発せられる強い光に危険を感じたアルはレガースからミッションメモリーを取り外した。
「今ここに安息の光をもたらそう……」

「Ready!」


へぷーはそのステッキで出来た剣を正眼に構えた。
アルもセイバーにミッションメモリーをセットし、それに対抗する。
「愛の力を、見せてあげるっ!!」

「Exceed cherge!」


へぷーの刃の発光が極限まで強くなり、周りにもピンクの波動が現れる。
アルのセイバーにもエネルギーが収束し、強い輝きを見せた。


「ハートブレイド・ヘヴンスラァァァァァァァァッシュっ!!」
「オアアアアアアアアァァァァァァァァァァッッ!!」


横に薙いだへぷーの刃と上段から振り下ろしたアルの刃。
二人の必殺技がぶつかり合い、しのぎを削り合う。
「くうぅっ……!!」
「うおぉぉ……!!」
腕力はアルの方が上だったが、剣自体の出力はへぷーが勝っていた。
鍔迫り合いは拮抗していたが、ステッキはその力を長く維持する事が出来なかった。
『……くっ!!』
ステッキから発せられる力が一瞬だけ強くなり、その影響でへぷーの刃が弾け、同時にへぷーとアルの体が吹き飛んだ。
「きゃ……!」
「ぐぁ……!」
二人が地面を転がった。
そして起き上がるとお互いの疑問をぶつけ合う。
「あなた達はどうしてこのステッキを狙ってるのっ!?」
「お前達こそクリーチャーを操って何を企んでいるっ!?」
「操ってるって……私はそんな事してないよ! それより何でこのステッキを……」
「オレはそんなステッキなんか欲しくも何とも無いっ!!」

…………

二人の間に沈黙が流れた。

「……えっと、もしかして……」
「オレ達……」
『……お互いに勘違いをしていたようだな……』




「ご、ごめんなさいっ! 私てっきり……」
「……まあオレも同じ勘違いをしてた訳だしな」
『その事はお互い様と言う事で水に流そう。
 とりあえず自己紹介をしておくぞ。私を持っているこいつの名はへぷー、本名みさき
 そして私の名はアル・フェイルだ』
「……偶然にもオレの名前と同じだな」
「え……じゃあ、あなたの名前って……」
アル
『奇妙な偶然もあったものだな……』
アルは改めてへぷーを見た。
「しかし仮面ライダーの他にもクリーチャーと戦っている奴がいたなんてな……」
「仮面……ライダー?」
「ああ、オレ達の事だ。他にももう二人居る」
「……ねえ、その中に犬耳で白い鎧の男の子って居る?」
「白い鎧? ……三日月の鎧は緑だし、犬耳なのはオレ一人だぞ」
『では、私達を襲って来た奴は別口だと云う事だな』
「!? ……他にも仮面ライダーがいたのか!?」
「うん……私達はその子に襲われてたの。そのすぐ後で同じ犬耳の男の子を見たからつい……」
『奴は私を狙っているようだった。……その理由は不明だがな』
「もう一人の仮面ライダーか……そいつが今回の事件の関係者みたいだな。
 ……なあ、提案なんだがオレ達と協力しないか?どうやら目的は同じみたいだしな」
『確かにそうだな。此方としてもお前のような力を持った者がいれば心強い。
 ……へぷー、お前はどうだ?』
「私も異論はないよ。……それじゃあ宜しくね、アル君。……紛らわしいからアル君、でいいかな?」
「ああ、構わない。こちらこそ宜しくな。……へぷーとみさき、のどっちで……」
みさきでお願い」


「……あわよくば相打ちに、と思ったけどやっぱりそう上手くはいかないみたいだね」
ビルの上でへぷーを襲った少年が言った。
「どうするの? 手、組んじゃったみたいだよ?」
アルを襲った猫耳の少女が不安そうに言う。
「大丈夫だよ。今の二人が手を組んだ所で僕達には敵わないからね。一人でも十分な位だ」
少年は自信たっぷりだった。
自惚れでは無い。自分達と相手の戦力を正確に把握していての事だ。
「……じゃあ、この場で戦っちゃうの?」
「いや、他の仮面ライダーの事も気になるしね。まずは相手の拠点を探ろう。
 これから新しい仲間を紹介をしに一度拠点に戻るだろうから。
 ……尾行は頼んだよ?」
「あいあいさー!」
猫耳の少女は元気いっぱいに答えた。




次の日、みさきは地図を見ながらアルが教えてくれた喫茶店まで来ていた。
「ここ……だよね?」
看板に書かれてあった店の名前が教えられていたものと一致している事を確認するとドアを開け、店に入る。
「あ、いらっしゃい」
店のマスターらしき人がカウンターから声を掛けて来た。
「あ……」
みさきの様子にマスターが怪訝そうな顔をした。
「どうしました? ……俺の顔に何か付いてますか?」
「……す、すみません。知り合いと似ていたもので……」
へぷーはカウンターまで歩いて行った。
そこにはマスターの他に銀髪の女性が座ってコーヒーを飲んでいた。
その女性が柔らかい口調でみさきに話し掛ける。
「貴女はこの店は初めてですよね?」
「はい、そうです。アル君の紹介で来ました」
「ああ、あいつの知り合いか。……ところで注文、何にします?」
「えっ……と、とりあえずこの店のオリジナルブレンドを……」
「オススメですね、毎度」
マスターはコーヒーを淹れ始める。
銀髪の女性が再びみさきに話し掛けて来た。
アルさんのお知り合いだったのですね。
 ……申し遅れました。私の名前はミストです」
「私はみさきです」
「俺の事はマスターって呼んでくれ」
ミルで豆を挽きながらマスターがそう答えた。
「ええと……アルさんのどういったお知り合いなのでしょうか?」
みさきは少し躊躇した。
マスターに言えば分かるって言ってたけど……この人に言ってもいいのかな?
 ……でも、普通の人には分からないだろうから構わないよね?』
みさきは意を決して口を開く。
「はい、今日来たのは彼の……仮面ライダーの事について聞く為です」
その言葉にマスターミストの表情が変わった。
「何故……その事を知っているのですか? ……答えて下さい」
ミストの銀の瞳がみさきを射抜くように見据えた。
「お前……何者だ?」
マスターも明らかに警戒をしている。
みさきは慌てて弁解した。
「ち、違いますっ! 私は只……」
その時ドアベルがカラカラ、と鳴りアルが現れた。
「あ、みさきさんもう来てたのか……って何ミストさん怖い顔してるんですか! マスターも!
 この人はオレ達の仲間です! 怪しい人じゃありませんって!!」

「す、すみませんっ!! 私、とんでもない勘違いをしていました……」
ミストが顔を真っ赤にしてみさきに謝った。
「あ、いえ、誤解が解けたんですからいいですよ」
「しかしそう言う事は前もって知らせておけ。何事かと思ったぞ」
マスターが嘆息しながらアルを諌めた。
「……悪い、忘れてた」
「重大な事を伝えるのを忘れるなよ……」
「ま、まあそれはともかく。みさきさんもクリーチャーと戦ってるって訳だ」
「……貴女も仮面ライダーなのですか?」
「いえ、私はこれで……」
みさきはポケットからブローチを取り出した。
『はじめまして、だな。私の名はアル・フェイルみさきに力を与えている者だ』
「ブローチが喋った!?」
「あらあら……」
マスターミストも面食らっていたが、異常事態への適応も早かった。
「……しかしアルと名前が同じだと不便だな。とりあえず俺はアル・フェイルって呼ぶぞ?」
「それでは私はアルさん、と呼ばせて頂きます。それで宜しいですか?」
ミストがブローチに微笑みかける。ブローチが一瞬輝いた。
『あ、ああ……それで構わないぞ』
『何照れてるんだか……』
みさきが心の中で呆れているとマスターがブローチに問い掛けた。
「それで、どんな力で戦うんだ?」
『うむ、いわゆる『魔法少女』だな。ステッキ片手に魔法で戦うのだ。
 無論魔法少女の名に恥じず身長も縮むぞ』
「……まあ、この年になると恥ずかしいものがありますけど……」
みさきが顔を赤くする。マスターは何かを考え込んでいるようだった。
「身長が縮む……か。ライダーシステムの変身システムの元になった物もそうだったらしいな。
 もしかして……」
『おそらくマスターの考えている通りだろう。仮面ライダーとか言う物の力は私のそれと同質の物だ。
 しかし、私の力を科学で再現した者がいたとはな……』
Y’sは天才だったからな……』
マスターライダーシステムを創った今は亡き旧友Y’sの事を思い出した。
ドアベルが再びカラカラ、と鳴った。
そして夜姫と二人の月夜、そして三日月が店の中に入って来る。
マスターライダーシステムの修理は終わってるのか?」
「今回はあたし達も協力するわよ?」
三日月や昔の私が巻き込まれた以上見過ごしておけないからね」
「そう言う事です」
マスターは新たに入って来た四人を見ると、アル達に目で合図をした。
「……全員揃ったようだな」

マスターが修理が完了したライダーシステムを取りに行っている間にみさきは自己紹介を済ませた。
「そら、お前達のライダーシステムだ」
戻ってきたマスター三日月月夜にそれぞれのライダーシステムを手渡す。
三日月はそれを手にして軽い魔術の構成を組む。
ライダーシステムがそれに反応して三日月の魔術を増幅させた。
「……流石はマスター、修理は完璧ですね。」
「当たり前だ、俺を誰だと思ってる?」
マスターが誇らしげに言うのをアルが茶化した。
「赤字喫茶店の店長だろ」
「おいコラ!!」
アルさん、今はそのような話をしている場合では無いでしょう。
 マスターをからかうのは何時でも出来ます。終わった後で幾らでもなさって下さい」
そんなアル三日月が諌める。
「……三日月、フォローを入れてくれるのはいいが煽るのは止めてくれ」
「や、これは失礼」
「……話が全然進まないね……」
月夜(白)の言葉に三人がコホン、と咳払いをする。
「……とりあえず今ボク達がすべきなのはあいつ等と戦う事だ」
「私達以外にも無関係の人達が巻き込まれている訳ですしね」
ミストの言葉に三日月が頷く。
「ええ、これ以上私達の生活を踏み躙らせておく訳にはいきません。
 もう一度戦うんです、私達の手で!!」
三日月の言葉に全員が同意し、今此処にチームが結成された。


「とは言ってもやる事はまず探索なんだよな……」
「しょうがないよ、それが今私達に出来る最善の事なんだから」
分散しての町の見回り。その退屈さに愚痴をこぼしたアルみさきが宥めた。
「……まあ確かに無関係の人達を巻き込まないって事は大事ですけど」
チームで各自クリーチャーを探し、発見の際にはそこに全員が集結する、というのが今回の策だ。
因みにチームはアルみさき三日月月夜(小)ミスト夜姫月夜(白)はそれぞれ単独行動となっている。
チームの戦力バランスや索敵範囲等の問題から上記のように決められた。
『今出来る事をする。それが大事な事だぞ?』
みさきのポケットの中からアル・フェイルが話し掛ける。
『皆の期待に答えなければな』
ミストさんの、じゃないの?
 ……確かに美人だったけどアル・フェイルは眼鏡掛けてたら誰でもいいんだから」
その言葉にアル・フェイルのスイッチが入った。
ポケットの中で激しく振動しながら強烈な光を放つ。
『何を言うかっ! 確かに眼鏡とは人体を装飾する物の中でも卓越した完成度を誇る洗練された一品だがそれのみで真価を発揮する物で
 は無い。そもそも眼鏡のレンズというものは人の印象を作る重要なファクターである眼を遮り、物理的に光をねじ曲げる物でありなが
 らその瞳の奥にある感情を遮り、曲げる事無く、いや! むしろ裸眼であった時よりも遥かに知性、神秘性を始めとする感情を際立た
 せると言う素晴らしい発明なのだ! そして千差万別に人の顔があるように眼鏡にも多彩なフレームがある。眼鏡を掛けた人物と眼鏡
 の相性が一致し、あたかも眼鏡が体の一部のようになった時の美しさは正に究極の美と言えよう。人々の目に映り、実存している物体
 でありながらあたかも顔に溶け込んだかのように「眼鏡」の単品としてはその目に捉えられない実存となる、この甘美なる矛盾の中に
 ある物をお前は感じ取る事すら出来ないのかっ!?』
「ごめん無理」
即答したみさきアル・フェイルが激昂した。
『何ぃっ!?お前はそれでも人間かっ!!いいか、眼鏡と言う物はだな……』
「わかった、わかったから少し静かにして……
 ごめんなさい、何かスイッチが入っちゃったみたいで……」
「いや、オレは全然気にしてませんから」

『何だ?毛穴って毛穴が開いちまってる、この感覚は何だ?
 何にしろ分かるのはアル・フェイルの魂からの主張にオレの魂が共振してるって事だ……』
アルみさきのポケットをちらりと見た。
アル・フェイル……もしかしたらお前とは良き友に……いや、強敵と書いてともと読むような関係が築けるかもしれない……』


「あー、ちょっといいですか?」
「え? ……あ、はい」
みさきアルが振り向くとカメラをぶら下げた一人の青年が立っていた。
「あ、俺、『東方ジャーナル』ってとこの記者やってる者です」
アルはその名を知っていた。ゴシップ専門の週刊誌を出している会社だ。
最近では、とある争奪大会の実況等が記憶に残っている。
「いや俺、実は今最近起こった謎の傷害事件を追ってるんですけどね。
 それで被害者の物理的な近くにいた人達に話を聞いて回ってるんですよ。
 ……確か貴女は旦那さんが被害にあったんですよね? その時に何か見たり聞いたりしませんでしたか? 
どんな小さな事でもいいですから気付いた事を教えて下さい!」
早口で男がまくしたてる。みさきはその勢いに圧されていた。
その困った様子を見かねたアルが横から口を出す。
「おいおい、困ってるだろ。
 それにそういう事を調べるのは警察の仕事なんじゃないのか?」
「警察なんて当てに出来ません」
男が爆弾発言をさらりと言いながらアルの方を向く。
「それに何かが怪しい。
 ……これは俺の勘ですがね。これは二年前に起きた連続行方不明事件と関連がある、そう思ってるんですよ」
アルがその言葉にびくり、と反応する。
男はそれに気付いた様子も無く続けた。
「今回の被害者の中にも二年前の被害者が二割ほど混じっています。この周辺の人口を考えると只の偶然では済まされない。
 それに突然被害者が怪我をしていた、と言うのも二年前の事件と状況が似ていますね。
 そうそう、二年前の被害者の一部が『変なのに襲われた』と錯乱していた件も見逃せません」
『……結構目ざといな、このパパラッチの人……』
アルは少し焦っていた。
「と言う訳でもし俺の予測どおりだった時その二の舞にならないように協力をお願いします。
 いや本当どんな事でも結構ですから、世の為人の為我が社の売上の為にもお願いしますよいやマジで」
『……本音が出てるぞ』
少し呆れながらもアルみさきのフォローに回った。
……三人の押し問答はその後もしばらく続いた……




三日月月夜は町を歩いていた。
月夜は手に持ったクレープにかぶりつきながら三日月に話し掛けた。
「……しかしお前と組むとはな……」
「仕方が無いでしょう。月夜様のライダーシステムにはクリーチャー探知機能が付いていないのですから」
294フォンは元々『王』側の手によって作られた物だ。通話やクリーチャー探知等の無駄な機能は排除されている。
「まあ、確かにそうだよな」
月夜はクレープを食べ終えると次は今川焼きの袋に手を伸ばす。
「……月夜様、今は探索中なのですから……」
「いいだろ、別に。腹が減っては何とやら、だ」
「……左様で」
三日月は改めて周りを見回しながらふと考えた。
……周りの人々には今の自分達はどう映っているのだろう?
『……さしずめ仲の良い兄妹、と言った所ですか。まあ当たらずとも遠からずって感じですがね』
三日月月夜の方を向く。その視線に気が付いた月夜が不思議そうな顔をした。
「どうしたんだ、三日月?」
「……いえ、何でもありません。
 それより月夜様、買い食いはそれでお終いにして下さいよ?」
「ああ、分かって……!?」
突然辺りにいた人々が消え去る。『音の無い世界』に巻き込まれたようだ。
三日月、クリーチャーの反応は!?」
「……ありません。と言う事は……」
「まあ、そういう事だね」
二人が頭上から響いた声に反応して見上げると二つの人影が降りて来た。
一人は白い鎧に青のライン、紫の宝玉の犬のような耳と尻尾を生やした少年。
その少年に掴まっていたもう一人は黒の鎧に金のライン、赤の宝玉の猫耳少女。
『少年の方はみさきさんの言っていた仮面ライダーと特徴が合致しています……と言う事は!』
月夜様!!」
三日月は手に持った392フォンを素早く操作して変身用のベルトを召喚する。

「call 392 ……standing by……」


「ああ、分かってる!!」
月夜も同様に変身の準備をした。

「「変身!!」」

「Standing by……」


「「Complete!」」


三日月月夜の体が装甲に包まれ、変身が完了した。
「……警戒されているようだね。まあ当然だけど」
少年は嘆息すると改めて口を開いた。
「自己紹介が遅れたね。
僕はスラッシュ……仮面ライダー364スラッシュだ」
「ボクはしるぴんだよ。仮面ライダー461シルピン!」
しるぴんと名乗った少女がはいはい、と手を上げながら元気良く名乗った。
『仮面ライダーが二人……ですか』
「率直に言うよ。君達の持っているライダーシステム……僕達に渡してくれないかな?」
「はあああぁぁぁっ!!」
スラッシュの言葉を無視して月夜が攻めた。
「クロー・オン!!」
月夜の爪がスラッシュを襲う。
しかしスラッシュは慌てた様子も無くそれを躱して月夜を突き飛ばした。
「うわっ……!!」
月夜様!?」
月夜の元に三日月が駆け寄った。
「いきなり攻撃してくるなんてね……こちらも手荒な事はしたくなかったんだけど……」
「二対二、と言うことですか」
三日月の言葉にスラッシュは首を横に振った。
「一対二、だよ。……しるぴん、君に任せる」
「……ふざけてるのか!?」
起き上がった月夜が激怒する。
「……これは君達にとっても良い条件だと思うよ?
 僕は君達の戦いに一切手出しをしない。……勿論僕に攻撃したら反撃するけどね。
 もし、しるぴんに勝てたならば数の上で君達が有利だ」
「……月夜様、ここは相手に従いましょう。一人ずつ仕留めれば良いだけの話です」
三日月の言葉に月夜が頷いた。
「……ねえ、ボク一人で大丈夫かな?」
しるぴんが不安そうにスラッシュに言った。
「大丈夫だよ、君の能力ならその二人に負けたりはしない。
 ……期待してるからね?」
「……うん!」
しるぴんが嬉しそうに頷いた。
「……そろそろ宜しいですか?」
「ああ、いいよ。……これが合図だ」
スラッシュは道から小石を拾うと宙に放り投げた。
三日月月夜がそれぞれミッションメモリーを挿し込んで短剣と爪の準備をする。

「Ready!」


「ネイル・オン!!」
しるぴんもその手先に光の爪を伸ばした。

――小石が地面に落ち、三人が一斉に動き出す――

数分後、地面に転がっていたのは三日月月夜の方だった。
しるぴんの動きは素早いものの、明らかに素人の動きだったがその防御力は高く、守りを破る事が出来ない。
更に、月夜を遥かに上回る圧倒的な攻撃力に圧されていた。
三日月の変身は既に解除され、地面に倒し伏している。
「うぅっ……」
月夜が立ち上がり、294フォンを引き抜く。
「ワイルド・オン!!」

「Check!」


そして再び腰のムーバーに294フォンを収めた。

「Error……」


「な……!?」
「……どうやら君は自分自身の力を使いこなせていないようだね」
月夜スラッシュを睨んだ。睨まれながらもスラッシュは平然と言ってのける。
「口出しはしない、とは言っていなかったけど? ……それより前、向いた方がいいよ」
その時既にしるぴんが腰から何かを抜いて月夜に向けていた。
「アロー・オン!!」
しるぴんが手に持った曲がった短剣のようなものが弓の形を取り、引き絞った矢が連続して月夜に突き刺さる。
「うわああぁぁぁぁ……」
月夜の変身が解除され、その体が再び地面に転がった。
「……分かっただろう? 時代遅れなんだよ、君達のライダーシステムは」
そしてしるぴんに顔を向ける。
「ご苦労様。後はライダーシステムを回収するだけだ」
「は〜い」
しるぴんが地面に落ちたライダーシステムに向かって歩き出す。
その時急にスラッシュが動きを見せた。

魔弓閃光矢レイ・ボウ!!」
「撃ち抜け、蒼の雷撃!!」

「Exceed cherge!」


「覇ァッ!!」
スラッシュしるぴんに襲い掛かった光の矢と雷撃を何時の間にか取り出した剣を使って撃ち払った。
その峰は鳥のような純白の羽根で装飾されている。
三日月、大丈夫!?」
月夜さん、お怪我はありませんか!?」
「待ってて、今治療するから……」
そこには月夜(白)ミスト夜姫がいた。
異変を感じた三人が夜姫の転移魔術でやって来たのだ。
スラッシュが嘆息する。
「子供同士の喧嘩に大人がでしゃばるのはよくないと思うなあ……」
「怪我した子供を庇うのも大人の役目だと思うよ?」
「……成る程、確かにそうだね」
月夜(白)の言葉にスラッシュは納得したようだ。
しるぴん、ここは一旦退こう。どうやら分が悪いみたいだからね」
しるぴんが頷き、スラッシュの傍に駆け寄る。
「駄目、逃がさない。悪い子にはおしおき」
「いや、もうおしおきを受ける年じゃないから……」
スラッシュの体が宙に浮こうとした。
「逃がさない!」
「宿れ、赤の闘志!!」
月夜(白)と、杖に赤い光を宿したミストが突進する。
スラッシュが腰に付いたケースからカードのような物を取り出し、364フォンの前に通した。

「Wall」


月夜(白)ミストの前に突然障壁が張られる。
「「!?」」
予想外の出来事に二人は弾き飛ばされた。
「……どうやらこちらの保護者も来たみたいだね」
スラッシュの言葉と同時に宙に巨大な影が浮かぶ。
その影が放つ圧倒的なプレッシャーにそこにいた三日月達五人は動く事が出来なかった。
「じゃ、帰ろう?」
しるぴんが最初に現れた時のようにスラッシュの背中のフライト・ユニットに掴まる。
「……しるぴん、出来れば自分で飛んで欲しいんだけど……」
「けちんぼー」
しるぴんは頬を膨らませながらも腰のケースからカードを取り出し、461フォンの前に通す。

「Flight」


そしてしるぴんの体がふわり、と宙に浮く。
スラッシュも自身が背負っているフライト・ユニットで飛んだ。
「……勝負は次までお預けだね」
「バイバーイ」
二人は空を飛んで去って行った。同時に空の影も消え去る。
「逃げられちゃった……」
月夜、それより二人の治療を!」
「私もやります!」
ミスト三日月月夜(小)に駆け寄り、治療の術を施した。
「癒せ、白の聖光……」
傷の浅い三日月ミストが担当し、月夜(小)夜姫月夜(白)の二人が癒す。


三日月月夜(小)
一対二だったにも関わらず、二人の完敗だった……





    

    

    


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この作品は、下記サイトの創作物の設定・キャラクターを二次創作利用させて頂いてます。