「起立!」

「礼!」

「着席!」




魔法少女まじかる☆へぷーVS仮面ライダー169(アルキュン)

〜CROSSED TALES〜



EX-04 月夜(黒)先生の劇場版講座



月夜(黒) :今回の座談会は講義形式だ。我が講師役を務める。
月夜(小) :『スーツにタイトのミニスカート……』
アル:『眼鏡……ニーソックス……』
ブローチ  :『す、素晴らしい……今、私はこの世界に生まれた事を心から感謝しているぞ……!』
みさき   :……先生。いきなり自分の世界に入っちゃってる人がいます。
アートルム :うっしゃー! 本編には間に合わなかったけどここには出られたぞー!
ルブルム  :あーさま、少し静かにしようよ……
月夜(黒) :点呼を取るのは面倒であるが故に我が確認して行く。
       アートルムアルしるぴん月夜(小)、ブローチ(アル・フェイル)、三日月……
       ……三日月
三日月   :……Zzz……
月夜(黒) :む。授業中どころか授業前から寝るとはけしからん奴だ。これがボイコットとか言う物か?
月夜(小) :いや、三日月の場合仕方が無いし……
月夜(黒) :分かっておる。只の冗談だ。
       みさきルブルム。以上七名だ。
アル:それは分かりました。
       ……でも何でお前が教壇の横に立ってるんだよ!
スラッシュ :いや、僕はこの事件を起こした張本人だからね。
       僕達側の説明にはちょうどいいって事で助手扱いになっちゃったんだよ。
       それに疑問って言っても殆ど僕達側の物だろうしね。
アル:……じゃあ、お前が講師役をやればいいだろう?
スラッシュ :いや、駄目だって言われた。
       この場合教師役と言ったら絶対黒い月夜さんなんだ、それ以外は認めない、でも夜姫さんなら別だけどって。
アル:誰がそう言ったんだよ。
スラッシュ :……お察し下さい。
月夜(黒) :本来ならば我はこのような面倒な事は引き受けたくはなかったのだがな。
       まったく……あちらの我が働かぬとは言え、何故我がこのような事を……
スラッシュ :貰う給料分は働きましょうね。
月夜(黒) :言われずとも分かっておる。
月夜(小) :あっちのボクの収入源にはこういうのも入ってたのか……?
アル:そう言えばミゥラクは居ないんですか?
月夜(黒) :居らぬ。彼奴が拒否した故にな。

(階下、保健室)

ミゥ    :やだやだ、ミゥもあそこに行くーー!!
ラク    :お子様は授業など受けんでも良いんだ。
ミゥ    :ミゥ、お子さまじゃないもん!
ラク    :そうやってムキになって反論する所がガキなんだよ。
ミゥ    :柿でもないもん!
ミスト   :まあまあ、お二人とも落ち着いて下さい。
       ミゥさん。ラクさんは何も意地悪で引き止めている訳ではありません。
       そこを分かってあげて下さい。
ミゥ    :……ぅにゅ〜……
ミスト   :……拗ねちゃいましたね。
ラク    :あれ位で丁度良い。
       ……ところで、何故白衣なぞ着ている?
ミスト   :だって保険の先生役ですから。
       ほらほら、聴診器だって持ってるんですよ?
ラク    :……悪いが仮装にしか見えん。
ミスト   :ラクさん……いじわるです……

(再び教室)

ブローチ  :何ぃっ!? 階下からも強烈なお姉さんオーラが?!
       しかしこの場を去る事も出来ん……
       わ、私は一体どうすれば良いのだぁぁぁぁぁぁ!!!
みさき   :素直に授業を聞いてなさい。
ブローチ  :ぬおおっ?! 潰れる、潰れるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
スラッシュ :……みさきさん、一応僕の新しいパートナーなんですからそれ位で勘弁してあげて下さい。
みさき   :あ、ご、御免なさい。つい、いつもの癖で……
ブローチ  :た、助かった……
月夜(黒) :では落ち着いた所で講義を開始する。何か疑問がある者は挙手の上、質問する事。
ブローチ  :早速質問だっ!
       その服装は誰のコーディネイトなんdうおおっ?! みしみしと軋む音がぁぁぁぁぁぁぁ!!!
みさき   :懲りないわね……
スラッシュ :みさきさん、落ち着いて落ち着いて。
月夜(黒) :これは三日月の用意した物でな。
       しかし彼奴の好みと言う奴は理解し難い……
       何故ここまでこの長い靴下にこだわるのだ?
       ……そうか、これが三日月の性癖で
三日月   :……不名誉な発言は……控えて頂き……たく……
月夜(黒) :……
月夜(小) :寝ながらでも突っ込みは忘れない。ナイスな根性だ、三日月
アル:『三日月……グッジョブだ!』
ブローチ  :『この高尚な趣味を解する事が出来たとは……見直したぞ!』
アル:『お前も同じ気持ちか!?』
ブローチ  :『うむ、此処に男の浪漫がある!!』
アル:『おお、我が強敵(とも)よっ……!!』
みさき   :何かテレパシーで通じ合ってるし……
月夜(黒) :この質問については以上だ。他に質問のある者はおるか?
月夜(小) :じゃあ質問。スラッシュ達は何処を拠点にしてたのかを一つ。
月夜(黒) :THATとやらの拠点を流用しておったようだ。使える物は再利用、と言う事であるな。
しるぴん  :ちょっと壊れてた所もあったけど住める所もいっぱいあったよ!
       あとはそこに買って来たお布団とかの必要な物を入れただけ。
みさき   :……そのお金はどうやって入手したの?
スラッシュ :僕が持ち込んだ宝石や金等を売ってお金にしたんだ。
       どこの世界でも光物の価値は共通だからね。
       換金時に多少足元を見られたけど暫くの活動には十分過ぎる程の金額になったよ。
アートルム :アタシらと考えてた事はおんなじだね。
ルブルム  :また追加を持ってきたとは言え、無駄遣いはしないようにね。
月夜(小) :……意外に近い所にいたんだな。これぞまさに灯台下暗し。
しるぴん  :第五話で出て来た子猫もそこで飼ってたよ。
       全部終わった後はスラ兄がボクの所まで連れて来てくれたんだ。
スラッシュ :流石にあそこに放置しておく訳にもいかなかったしね。
アル:次は『グラ』のいた世界について教えて下さい。
月夜(黒) :『グラ』とやらが居た「世界」は古き主のいた「異世界」と同じようなものであるようだ。
       だが、そこには「神」と呼ばれる存在がいなかったのが大きな違いであろう。
スラッシュ :そこには色々な種族がいてね。
       僕みたいな外見の種族……ここでは「ヒューマン」って言うよ。
       犬や猫等の動物の特徴を持った種族「ラフェル」的存在もいたね。
       その二つにも時々強い力を持った者がいる事がある。
       そしてグラ様のような「竜人」の他に比較的強力な力を持つ種族もちらほら。
       それらの存在が「神」の代わりになるのかな?
       あ、「竜人」って言うのは人の姿にその身を変える種族の「竜」の事を指しているよ。勿論その時魔術なんかは使用しない。
       竜がヒトの社会に溶け込んでしかも受け入れられているんだからあの世界の人も適当と言うかなんと言うか……
       魔力はあっても「神」や「魔」と同じ存在は無い。
       でも「霊力」を持つ僕があの世界に弾かれなかった事を考えると神力自体が無いって訳じゃ無いみたいだね。
       若しくはこの世界における魔力のように世界に許容されているのか……
       もしかしたらあの世界は神や魔の「因子」を排除する事で生物としての別の可能性を模索している世界なんじゃないかな?
月夜(黒) :そのような存在はそれ自体が強力な力を秘めておるらしい。
       「神」が「世界」という巨大な貯水タンクの蛇口を捻り、汲んだ水(力)で何かを成すと例えたならば
       『グラ』のような存在は自らの持つタンクから直接水を汲み何かを成すと言った感じであろう。
       まあ、その水の補給は「世界」に依存しておるらしい故に異なる「世界」では長期間に渡り力を行使出来ぬようだな。
       強大な力を持っていようとも結局は自分の世界に属している存在である故にな。
       それ自身が持つ身体能力の高さや能力等は変わらぬが。
アル:だから移し身を使ってたのか?
スラッシュ :それもあるけど何よりもグラ様が心配したのが自身の力が及ぼす影響だよ。
       『自分の存在が別の世界の生物に絶対に影響を与えない』って保証は無いからね。
月夜(小) :意外に人格者なんだな。
スラッシュ :厳しくも慈悲深い、統治力にも長けていて賢王と呼ばれていた立派な方だよ。
       種族の違いでの差別もしなかったしね。
       元々「ヒューマン」の人口比が他種族を無視出来るほど圧倒的に高かった訳じゃ無いからそれほど酷い差別は無かったけど。
しるぴん  :じゃあボクを見ても変に思わなかったのは……
スラッシュ :慣れてた……って言うよりもむしろ当たり前に近かったから。
ブローチ  :そろそろ話題を変えても良いか?
月夜(黒) :許可しよう。
ブローチ  :スラッシュはその世界で何をしていたのだ?
スラッシュ :グラ様の所で兵士をしていたよ。勿論魔術師としても活動してたけど。
       魔術師としては付加魔術を専攻していたね。
みさき   :付加魔術?
月夜(黒) :物質に魔力を宿し、様々な効果を得る系統の魔術だ。
スラッシュ :付加魔術は結構得意だったよ。色々研究、開発もしてたしね。
       ライダーシステムグラ様の調査データを元にして付加魔術、その他の技術で再現したし。
       勿論何人かの協力者に手伝って貰っていたけどね。
月夜(小) :あれってお前が造ったのか?!
スラッシュ :グラ様の調査データを元に再現したのが試作型――後の461フォン。
       そのデータを採りながら出来た完成品が364フォンだ。
しるぴん  :スラ兄……実は凄かった?
スラッシュ :「実は」って……
月夜(黒) :スラッシュの『ヘヴンズ・ソード』等の特殊能力も付加魔術による物だな。
       攻撃系よりも戦いを有利に進める為の能力を好んでいたようだ。
スラッシュ :他の得意分野としては『Noice』や『Confine』みたいな精神干渉の類の物かな。
       『Confine』は暗示みたいなもので相手の行動を制限する。
       三日月に使った「銃のトリガーを引く事を禁じる」みたいに。
ルブルム  :それ一つで持ってる武器を使えなく出来るんだ……
スラッシュ :いや、それを使う事自体を禁じるんじゃ無くて特定の行動を禁止するんだ。
       剣で斬りかかってきた相手に「剣で斬るな」って感じでね。
       でも……
みさき   :でも?
スラッシュ :実は剣で斬る事は出来なくなっても突いたり投げたり平で叩いたり柄で殴ったりは出来たりするんだよ、これが……
アートルム :うわー。マヌケな話だなー……
スラッシュ :(ぴく)……でも普通はそのまま斬りかかるからね。
       動きが止まった一瞬の隙をついて攻撃すれば大抵の相手には直撃するよ。
月夜(黒) :だがスラッシュの魔力はそう高くは無いからな。
       レジストされればそれで終いだ。
月夜(小) :魔力、低かったのか……
スラッシュ :ほとんど人並み。
       だから魔力を付加する時も媒介や魔方陣、これでもかって位長くなる事もある呪文を使ってたよ。
       それを少しでも楽にする為に制御の訓練や魔術の理解の為の勉学は欠かせなかったね。
ブローチ  :……案外努力家なのだな。
スラッシュ :あの頃は少しでも強くなりたかったからね。出来る限りの努力はしたよ。
       武器を使った戦闘や体術の訓練もやってたし、休憩や休みの時には魔術の研究や構成のコンセプトを考えてた。
アートルム :努力の虫だな。
月夜(黒) :戦闘技術の方はまずまず、と言った所か。超一流とは言い難いが技量は中々のものだ。
       我やルブルムには及びもつかぬがな。
スラッシュ :才能が無いのは自覚してましたから努力と戦術で何とか補おうとしてましたよ……
しるぴん  :スラ兄の得意な戦い方ってなに?
スラッシュ :多人数で戦う時は中距離からの支援だね。
       精神干渉等の魔術で相手の力を奪う戦闘補助をしていたよ。
アル:いわゆる『バッファー』タイプか。
       一人の場合はどうなんだ?
スラッシュ :一人で戦う時も精神干渉系の術で「相手の力を削ぐ」事に重点を置いていたね。
       あらゆる手段を用いて不意をつき、術を掛けて確実に相手の力を奪っていく。
       相手を仕留められる位まで弱らせたら急所に必殺の一撃を叩き込む。
       付加魔術で作ったアイテムやスクロールも使っていたよ。

(教室のドアが開けられる)

夜姫    :その事で質問、いい? スクロールにどうやって精神を封じるの?
月夜(小) :あれ、お姉さま? ボクはてっきり出て来ないものかと……
夜姫    :ラナンシュート。
月夜(小) :すいませんでしたぁぁぁぁぁぁ……!
夜姫    :で、どうなの? あたしもそれを研究してたんだけど上手くいかなくって……
スラッシュ :……え……ええと、それについては説明は難しい……と言うより出来ませんね。
       元々グラ様の世界ではスクロールは小型化されてましたけどそれに精神を封じるのは僕オリジナルのものです。
       感覚に因る所が大きいので他人に説明するのは難しいんですよ。
       それを解明しようとしていた人もいましたがそのことごとくが挫折してました。
夜姫    :残念ね……
       じゃあせめてスクロール小型化の技術だけでも教えてくれない?
スラッシュ :まずスクロールを完璧に作れる事が前提条件ですけど……出来ますか?
夜姫    :う……
月夜(小) :(這い上がって)いきなりひどいですよお姉さま〜……
夜姫    :じゃ、じゃあね、みんな!

(教室から出て行く)

みさき   :色々大変なんだね、月夜ちゃんも……
月夜(黒) :……話を戻すぞ。
       複数での戦闘時や作戦では囮役もよく任されておったようだ。
アル:何でだ?
スラッシュ :まず一人でもある程度戦う事が出来る事。
       これは何とかクリア出来てたね。それに逃げ足も速かったし。
       そして何よりも……
ブローチ  :何だ?もったいぶらずに話せ。
スラッシュ :……「お前ひょろってしてて見た目弱そうだからこれ以上無い程の適役だ。絶対相手も油断してくれる」って言われて……
アートルム :あはははっ! 確かに。
スラッシュ :そこっ! 笑いすぎ!!
       ……でも相手が人でも魔物でも悲しい程見事に引っ掛かって来たのは少し複雑だったよ……
       「やっぱり俺の目に狂いは無かった」って言われてもね……
ルブルム  :『その気持ち、わかるよ。もうちょっとソフトに言って欲しいよね、そんな時……』
月夜(黒) :その「戦う事の出来る実力」の中にはスラッシュ自身が作成した道具の類の力も含まれておるな。
スラッシュ :さっきも言ったけど結構苦労して作ってたんだよ。
       ……でもそういう事でルブルムには興味があるね。
ルブルム  :え、僕?
アートルム :何だ? ショタっ子が好みか?
スラッシュ :そう言う意味じゃ無いって言うかそんな趣味は無いっ!
ルブルム  :それに僕はお・ん・な・の・こっ!!
月夜(黒) :成程、年下が好みであったか。
しるぴん  :うそ……スラ兄がそんな趣味だったなんて……
スラッシュ :だから誤解を招くような事は言わないで下さい!! しるぴんも鵜呑みにしない!! 僕の好みはむしろ年u……じゃ無くて!
       僕が興味を持ってるのは彼女の持つ力――魔力浸透です!
       下地無しで物質に魔力を浸透させて、時にはその本質すらも変化させる……
       付加魔術を専攻していた研究者として興味があるって事。
       是非とも解明、再現してみたいテーマですから。
       再現出来ればかなり僕の『旅』の役に立ちそうだし。
アル:「Boost」があるからいいんじゃないか?
月夜(黒) :あれはルブルムの能力とは異なる物だ。
       魔力を付加してあるライダーシステムの武器に一時的に更なる魔力を供給し、威力を高める効果を持っておる。
       故にそれ以外の通常武器には使用不可能。
       本質を変えるような能力も有しておらぬ。
スラッシュ :そういう事。
ルブルム  :……でもこの力の原理についてはあんまりわかってないんだ。多分無理だと思うよ?
スラッシュ :残念。
月夜(小) :研究者ならそこであっさり退くなよ……
スラッシュ :僕の研究対象は「役に立って、僕自身に実践可能である事」が最優先だから。
       それに力を求めるならもっと効率のいい手段があるしね。
       例えば霊力の使い方を朝妃さんに教えてもらう、とか。
       高練度の精神や魔力の行使の仕方を覚えればライダーシステムの魔術補助と合わせて強力な力になるはずだし。
アートルム :あー、ムリムリ。
       朝妃自身人に物を教えられるほどおつむの出来がいい訳じゃnわふっ!?
ルブルム  :……あーさま、口で死なないようにね。
みさき   :この辺りで聞きたい事が。スラッシュ君やしーちゃんはどれ位強いんですか?
月夜(黒) :ふむ……しるぴんについてはアル程では無いが適正が高く、身体強化能力も高かったようだ。
       だが、戦いに関しては素人であるが故に第四話のような連携には弱い。
       腕力と守備力で押せぬ相手であったならば負けるであろうな。
ブローチ  :スラッシュの場合はどうなのだ?
月夜(黒) :結論から言おう。
       アル達と比べれば確かに強い。
       だが、朝妃達を含めた我等全員の中ではそれほど強いとは言えぬな。
スラッシュ :第六話では手加減されても負けてたしね。そう言えばあの時最後に使おうとした魔術は……
月夜(黒) :何、只の狭域結界内部における核反応爆発だ。
スラッシュ :……って全然手加減していないじゃないですか!
       死にます、絶対死にますって!!
月夜(黒) :我が本気になっておればお前など一秒と経たぬ内に挽き肉になっておったぞ?
スラッシュ :……ソウデスカ……
月夜(小) :良く生きてたな、お前……
しるぴん  :先生、続きは……?
月夜(黒) :おっと、続きだな。
       あちらの我にも惨敗するであろうし、古き主とは戦闘スタイルが噛み合わぬ。
ブローチ  :……む? だが第六話では……
月夜(黒) :スラッシュが魔術を使えるとは思っていなかった事が古き主の誤算でな。
       突進するスラッシュを見て『カードを使わせる前に仕留める』とでも考えたのであろう。
       そしてその後の予想外の展開にスラッシュへの対応が僅かに遅れ、その隙をつかれた……こんな所であろうな。
       もし古き主本来の戦い方を相手にしておればスラッシュは文字通り手も足も尻尾も出ぬだろうよ。
スラッシュ :僕は魔力が低いから長い距離を転移する構成を素早く組めないからね。
       感知も反撃も出来ない遠距離からの魔術の連続砲火。それに対抗する術を僕は持っていない。
みさき   :『契約』した時はどうなの?
スラッシュ :TAHAがあるから感知能力はほぼ互角。魔術もある程度防御してくれる。
       僕の魔力も補われて転移の距離も伸びるし……状況にもよるけど後は運次第かな?
       間合いに入れれば僕の勝ち。入れなければ僕の負け。
       あ、それから切り離したフライト・ユニットが相手を先に仕留められるかどうかも加わるね。
月夜(小) :お姉さまは魔剣使いは苦手だって言ってしな。フライト・ユニットは感知出来ないだろうし。
アル:パワーアップしたオレ達とはどうでしょう?
スラッシュ :元々僕のライダーシステムは対パワーアップフォーム用に創られた物だからね。
       カードと魔術による戦略の幅で十二分に対抗出来るよ。
       「Contract」はそれでも敵わなかった時の最後の手段。
月夜(黒) :だが三人ともスラッシュに勝てる程の可能性は秘めておるぞ?
       古き我は我の妖力を秘めておるし、三日月に秘められた力の規模も大きい。
       アル適正が高い故に『星』との同調率を高め、より大きな力を引き出す事も可能だ。
       無論基本的にはスラッシュの方が上であるがな。
みさき   :凄かったんだね、みんな……
月夜(黒) :お前もアルと同じように強大な力を行使出来る可能性を持っておるぞ?
       『グラ』とやらとの戦いの際のようにな。
月夜(小) :そうか……でも改めてみると皆スラッシュに勝てるかもしれないんだよな。
アートルム :つまり、意外に弱かったと。
スラッシュ :(ぷちぃ!)
       ……さっきからの君の発言は僕に喧嘩を売ってるって事で間違い無いのかな?
アートルム :お、やるか?
ルブルム  :ちょ、ちょっとあーさま……
月夜(黒) :皆、巻き添えを食わぬように教室の端に寄れ。
       机も避けてスペースを作るように。
みさき   :三日月君も避難させないと。……よいしょ、っと……
三日月   :……Zzz……
ブローチ  :ついでに私も運んでくれ。
アル:よし。やれ、アートルム
しるぴん  :スラ兄ふぁいとー!
ルブルム  :ああっ、何かみんな観戦モードに入ってるし……

「call 364 …standing by…」


スラッシュ :変身!!

「Complete!」


アートルム :よっしゃー、どんとこーい!

(その頃、保健室)

ミスト  :……上の方は随分と賑やかですね。
ミゥ   :クッキ〜♪
ミスト  :ふふ、美味しいですか?ミゥさん。
ミゥ   :にゃん♪
ラク   :食い物で機嫌が直るとは単純だな。
ミゥ   :みゃうん、にゃにゃ、にゃあ〜♪
ラク   :食うのに夢中で聞いてもいねぇし。
ミスト  :ミゥさんの機嫌が直ったのだから良いじゃないですか。
      ……ラクさんも紅茶、いかがです?
ラク   :する事が無くて暇だしな。一杯貰おう。

(教室。暫く音声のみでお送りします)

(ドンッ!)覇アアアァァッ!!(ドガガガガガッ!)
うりゃー!(がしっ、どかっ!)てりゃ!(ぶんっ!)
(ひょい)倒ッ!!
(ガッ!)こしゃくなー!
(だんっ!ダダダダダダダダダダッ!!)
うわっ?! ……こうなったらー!

(ブゥ……ン)

ちょ、ちょっとあーさま?! それって…… 
!? ちょ、待っ……幾らなんでもそれは……

おりゃぁー!(ブンッ!ブンッ!ブンッ!)
わっ……ととと……(ダンッ!)しまった、壁が……
やあっ!!(ドカッ!!)
……げふっ……(ばたり)

アートルム :びくとりぃ!!
ルブルム  :あーさま、丸腰の相手にフォーロック使うのは反則だと思う。
アートルム :刃は使わなかったんだからいーじゃん。そうすればでっかい鈍器みたいなもんだし?
ルブルム  :大体いつそんな物持って来たの?
アートルム :こっちに帰って来る前にソフィア様に結晶化してもらった。
ルブルム  :……
月夜(黒) :スラッシュ。いつまでも寝ておらんでさっさと起きろ。
スラッシュ :(むくり)痛たたた……結構効いたね。
アートルム :え、もう立てるの?! 確かに手加減してたけど……
スラッシュ :最後は一点防御して衝撃を和らげたからね。それでも十分痛かったけど。
しるぴん  :スラ兄、負けちゃった……
アル:でも武器も461フォンも使ってなかったよな。
月夜(小) :紫のTAHAも。
スラッシュ :……一応言っておくけど、もう461フォンの力は戻してあるよ?
みさき   :この場合、判定はどうなるのかな……
ブローチ  :ううむ……アートルムは刃を立てなかったとは言え武器を使った訳だしな……
月夜(黒) :互いに本気を出しておらぬ。
       アートルムが武器を使用した点も考えると、今回は引き分けとなるであろうな。
アートルム :むきー! 勝ったのになんかむかつくー!!
スラッシュ :……それでも本気で戦ってたら多分君の方が有利だと思うよ。
       武器の格の違いや朝妃さんの神力の関係もあるしね。
       僕にも霊力があるとは言えその規模が違う。
アートルム :うむっ、わかれば宜しい!!
ルブルム  :でも途中まで押されてたよね。
アートルム :るー君は余計な事言わない!
月夜(黒) :さて、終わった所で皆机を元の位置に戻すように。

(ガタガタガタ……)

スラッシュ :……まだ修行が足りないな、僕は。
月夜(黒) :まあ、そう落ち込むな。
       今のお前も人間の域という中では強者である事は間違い無いぞ?
       手加減をしていたとは言えども我に傷を付けた者などそうそうはおらぬ。
       ……どうだ、我に仕えてみる気は無いか?
スラッシュ :僕には目的があるのでお断りします。
       僕の世界を再生してくれるのなら幾らでも傅きますが。
月夜(黒) :……可愛気が無いな、お前は……
       しかし残念だ。お前に我を守護させたならば大抵の者は突破出来ぬであろうしな。
       そうすればアルを傍に置き、心置きなく愛でる事が出来る……
アル:何故そこでオレッ?!
月夜(黒) :スラッシュを傅かせ、邪魔が入る事無くアルを愛でる、か……
       良い、良いぞ……たまらぬな。今すぐにでも実行に移したい程だ……
       ふ、ふふ。ふふふふふふふふふふふふふふふふふ……
スラッシュ :ガタガタガタガタ……
アル:ガクガクプルプルガクガクプルプル……
しるぴん  :あの……アルお兄ちゃんやスラ兄をあんまりいぢめないでやって下さい……
月夜(黒) :む。そのようなつもりは無いぞ?
       二人共、壁際や机の下で震えておらずに早く戻れ。講義を続けるぞ。
       心配は要らぬ。先程の発言は半分冗談である故にな。
アル:……前者と後者、どちらが本気だったのでしょうか……
月夜(黒) :愚問だな。無論k
アル:もういいです! 言わないで下さい!!
月夜(黒) :しかしスラッシュは『可能性』に目覚めておるので更に強くなれる可能性を秘めておるな。
       世界を従える力を行使するまでには至らぬであろうし、至っても使わないであろうが。
スラッシュ :当たり前です。
ブローチ  :そう言えば『グラ』やスラッシュの世界を滅ぼした奴の強さはどうなのだ?
月夜(黒) :『グラ』は強い。本来の力を発揮すれば我とて敵わぬであろうな。
       「神将」並みの力を有しておる。
アートルム :ええっ?!
月夜(黒) :空間を越え、「世界」を時間軸から切り離す。
       これだけでもその力の片鱗が垣間見える。
ルブルム  :そんなに凄い人と戦ってよく勝てたね……
月夜(黒) :この世界において『グラ』は本来の力を発揮出来なかった。
       加えて「星」の力に対峙したのだからな。
月夜(小) :……二人とも実はもの凄い事をやらかしたのか?
月夜(黒) :だがそれをも遥かに超越してスラッシュの世界を滅ぼした人間は強い。
       我どころかそれに勝てる存在など皆無に等しい。
一同    :!!!!!!!???????
スラッシュ :……何しろ世界の全てを従えてそれを自分の力にしたんだからね……
       それに歯向かうって事は世界中全てを敵に回すって事だよ。
       力だけじゃ無い。その星の環境も、何もかも……
月夜(黒) :「神将」とは言えども他の世界ではその真価を発揮出来ぬ。
       仮に出来たとしても供給を受ける自然の力が全て堰き止められてしまっているのだからな。
       自分は力を引き出せない、相手は力を独り占め。
       これに勝つ事の出来る者がいるとすれば、より強い「世界」への干渉能力を持つ者か
       それ自体が「星」の規模よりも大きな力を有しておる存在位だ。
       そのような存在となると……
スラッシュ :すみません。……この話はこれ位にしてもらっていいですか?
月夜(黒) :……うむ、そうであるな。この話題は終いだ。
みさき   :えっ……と。次の質問、いいですか?
月夜(黒) :遠慮せずとも良い。
みさき   :私からの次の質問は三日月君の『ディバインフォーム』の「慣性制御」について、ですけど……
月夜(黒) :ふむ、キザな台詞と共に変化するアレか。
       三日月は素でキザであるからな。これ以上無い程似合っておる変化法やもしれぬ。
三日月   :誰が……キザ……で……Zzz……
月夜(黒) :「蒼」の力を持つ者は空間に対する作用や重力等を制御する能力を持つ事がある。
       推測に過ぎぬが重力を操り、慣性で発生するGを相殺しておるのだろう。
       因みにこれは三日月の潜在能力では無く、あくまで『ディバインフォーム』の能力。
       三日月自身にこの能力が潜在しておるとは限らぬ。
アル:じゃあ、オレの赤や月夜の橙、スラッシュの紫は……
月夜(黒) :アルや古き我については返答し辛いものがあるな。
       特に「橙」に類する力は存在しないが故に。
       「紫」の力を持つ者は高次の精神や魔術、相手に対する精神干渉を行う事を可能とする。
       スラッシュの特殊な才能はこれに基づくものであろう。
スラッシュ :精神干渉に関しては結構直感的に出来たしね。
       付加魔術に関してはそれに対する知識が必要不可欠だからそれだけじゃ成り立たないけど。
       この二つに重点を置き、研鑚に研鑚を重ねてアドバンテージにしていたんだ。
みさき   :いえ、それはそれでためになる話ですけど……
       私が聞きたいのはスラッシュ君も慣性を無視したような動きをしてたな、って事です。
月夜(小) :フライト・ユニットを使ったあの動きだな。
月夜(黒) :スラッシュのあれは慣性制御では無い。
       爆発的な噴出によって慣性力を殺し、静止状態に入ってから逆方向に動きを転換しておるだけだ。
       その手順の速さ故に擬似的な慣性制御と見えるだけに過ぎぬ。
スラッシュ :ライダーシステムの身体強化能力でブラック・アウト(急激に加わるGにより血液の循環に障害が起こる現象)を防いでいるんだ。
       でもGが加わる事に変わりは無いからあの動きは結構辛いんだよ。
アル:第七話でオレ達が戦ったクリーチャーは倒しても消滅しなかったけどそれについてお願いします。
月夜(黒) :『龍』は『グラ』の眷属より選び、『キメラ』や『ケルベロス』は野の魔獣を捕獲して使用したようだ。
スラッシュ :夜姫さん達と戦った『ドラゴン』もグラ様の眷属だよ。
月夜(黒) :その選抜の際にも魔力や他の力を持たぬこの世界に影響が無い者。
       尚且つ強力である事を考え、あのようになった訳だ。
スラッシュ :他の魔物は僕が創ったクリーチャーだ。
       THATの拠点を探索した際にクリーチャー作成の資料を見つけてね。
       その技術と残された施設を利用して創ったんだ。
しるぴん  :「絶対に入るな」って言ってたあの部屋?
スラッシュ :そう。
ブローチ  :最後の戦いでラクが『結界』に入って来ただろう。
       『腕利きの魔術師でさえ知覚が困難な結界』にどうやって入ったのだ?
       ……と言うよりそんな事が出来るあいつは何物だ?
月夜(黒) :彼奴の知り合いに稀有な才能を持つ者がいてな。
       その者は結界を「視る」事が出来た。
       その者の教えで『結界』の境目を正確に知り、明確な侵入の意思を持てば入り込む事は容易だ。
スラッシュ :元々閉じ込める事じゃ無くて、知覚を困難にして邪魔が入らないようにする事を目的とした結界だからね。
       境目が判れば案外簡単に入れるんだよ。
ブローチ  :つまりラクが特別なのでは無いと言う訳だな?
スラッシュ :『……本当は簡単なものでも魔術に関する知識が必要なんだけどね。
        その事については決してばらさないって約束だし』
月夜(小) :あ、それから……ボクに『可能性』が目覚めたってアレは……
月夜(黒) :ああ、あれはスラッシュの勘違いだ。
月夜(小) :勘違いっ?! 勘違いで殺される所だったのかよ、ボクは!!?
三日月   :……!!! ……
みさき   :三日月君の額に血管が……
スラッシュ :……いや、あの時は切羽詰まっていたからね。危険は排除しておきたかったんだ……
月夜(黒) :別に古き我が世界を隷属させた訳では無い。
       「天は自らを助くる物を助く」。
       スラッシュの凶行を止めさせる為、一時的に「世界」がスラッシュの意思を離れたに過ぎん。
月夜(黒) :おっと、そろそろ時間だな。
       尚、この講義終了後は我は質問その他には一切答えぬのでそのつもりでいるように。
スラッシュ :それは教師としての役割を放棄してるんじゃ……
月夜(黒) :一切答えぬのでそのつもりでいるように。
スラッシュ :……そうですか……

(チャイムが鳴る)

ルブルム  :『誰がこれ鳴らしてるんだろ……』
月夜(黒) :うむ。それでは最後に黒板に書かれた文を斉唱して講義を終了する。
スラッシュ :(カッカッカッ……)……はい、完成。この文だよ。

生徒一同  :……せーの!

       皆さん、この話を読んで下さってありがとうございました!!

月夜(黒) :それでは、な。



【放課後】



    

    

    


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