Final Fantasy W

運命の恋占い


koimo



25歳のエブラーナの王子、エドワード・ジェラルダインは
よくお忍びと称して、城下町に遊びにやってきていた。
彼はエッジと名乗って、身分を隠して自分の好きなことに夢中になっていた。
その彼の夢中になることとは、
「おっ、美人じゃねえか?一緒に茶でも飲もうぜ!」
「おい、あの黒いのがいかにも走りそうだな。よし、アレに1000ギル!!」
要するに、ナンパだとかギャンブルなどである。
エッジの顔立ちは、少々きつめながらなかなか整っていて
目元の涼しい美男といってもいいのだが、王子らしい気品だとか、風格はあまり感じさせなかった。
またその言動は自分が王子であることを、少しも自覚していないようであった。
町で彼に会うなじみの者達は、彼がこの国の王子であるとは全く気付かずにいた。
ただなかなか羽振りがいいし、男前であることや
お調子者ながらも気のいい憎めない性格などから、男女共に人気があった。

そんなある日、エッジはいつものようにナンパしようと町までやってきたが
何やら人だかりが見えた。よく見ると、そのほとんどが町娘たちだった。
「一体何のさわぎだ?」
エッジは、町娘の何人かに聞いてみると、よく当たると評判の占い師が来ているとのことだった。
「アタシには今密かに意中の人がいるの。その人のことを占ってもらうわ!」
「私は彼との相性を占ってもらうわ。」
「私は彼がいないから、自分の運命の人が誰か占ってもらうの。どんな人なのかしら?」
町娘たちはそれぞれ希望に胸を膨らませていた。
エッジはそれほど占いに興味などなかったが、何故か気になって占ってもらうことにした。

占い師は若い女性だった。衣装が派手で化粧が濃いが
エキゾチックな顔立ちの美女で、エッジは占いよりも彼女のほうに、まず興味を持った。
「お、なかなかいい感じのねえちゃんじゃねえか!占いが終わったら一緒に茶でも飲まねえ?」
占い師はエッジのその言葉に対し、彼女は冷静にさらりとかわした。
「そんな風におっしゃるということは、あなたには恋人はいらっしゃらないようね。
そして特に意中の人もいないのね。」
「へぇ、まいったな。」
エッジは図星を指され、苦笑した。
てっきり誘いに乗るか、怒られるかのどちらかだろうと思ったのだ。占い師は続けた。
「女性にだらしなくて、色んな女の子に声をかけているけど、一度も本気になったことはないのね。」
「チッ、手厳しいなぁ。」
エッジは占い師の言葉に、たじたじとなった。若くてきれいな女の子は確かに魅力的だ。
だが、何か物足りなくて本気で相手を好きになることができず、恋人にまでなることもなかった。
確かに占い師の言うとおりだった。
エッジは王子であり、25歳という適齢期なので、縁談もかなりあり
つい先日お見合いをしたばかりだったが、彼の口の悪さと、正直さが災いしてうまくまとまらなかった。
それにエッジ自身、お見合いというのは嫌だった。
「自分の女くらい自分で選ばせてくれよ!!」
お見合いが破談になって、家老から説教をされているというのに、エッジはそう言って開き直ったくらいだった。

占い師の手厳しい言葉が続いた。
しかしエッジがうんざりしはじめた時、占い師はやわらかく、優しい笑みを浮かべて言った。
「でも、本当のあなたはとても暖かくて誠実な人。あなたは本当に愛する人ができた時は
一途に、そして真摯にその人を想うことでしょう。
一年後にあなたはそんな運命の人に出会えることでしょう。」
エッジはそれを聞き、驚いたように目をぱちくりとさせた。
「ど、どんな相手なんだ?び、美人か?」
 占い師はそれを聞くと、少しの間目をつぶり、瞑想したが、やがて目を開けて静かに言った。
「とても美しい女性だったわ。外見だけでなくて、心も!!」
 それを聞き、エッジは見てみたくなった。美人と聞いて気になって仕方がない。
「水晶球で今その人を写してみるわ!」
占い師はエッジが真剣になって頼んできたことにうたれて、水晶球を取り出してそれに念を込めて占った。
水晶球に写ったのは、美しい女性ではなく、ほんの5、6歳の幼い少女だった。
なるほど、緑色の髪と同色の瞳、白い肌の見るからに愛らしい少女ではあったが。
「おい、これがその相手かよ!!ガキじゃねえか!!」
エッジは期待していただけにガッカリし、
占いなんか気にした自分がバカだったと思い、料金を払ってテントから出て行った。
残った占い師はいぶかしげに水晶球を眺めた。
「おかしいわ。さっき私の脳裏に浮かんだのは、20歳くらいの本当にきれいな女の人だったのに・・・。」
占いも外れることはある。占い師はそれ以上何も考えず、次のお客をテントに招いた。

エッジは城に戻り、その晩夢を見た。
エッジは赤いマントの大男と戦ったが、正々堂々と戦い倒されてしまった。
今にも力尽きようとしたエッジに少女が手を差し伸べてきた。
何と、その少女は昼間の占いで水晶球に写し出された少女その人だった。
少女は、エッジのために涙を流し、エッジは少女に問いかける。
「おい、お前どうして俺なんかのために泣くんだよ!!」
「死んじゃダメ!!人が死ぬのを見たくないの!!」
少女は、強い意志と優しさを秘めた澄んだ目でエッジを見つめていた。
エッジはその目に吸い込まれるように少女から目が離せず、その腕を取って立ち上がった。
瀕死の状態だったはずなのに、エッジの身体には力が、そしてその心には何か暖かいものが芽生えていた。
「やっと会えたな!!ずっとこんな日を待ってたぜ!!」
エッジは少女を抱き上げてずっと彼女を離さなかった。
彼が本当に会いたかった運命の人は、外見の美しい女ではなかった。
幼子のようにまっすぐで美しい心の持ち主だった。

夢から醒めたエッジは、やはり夢だったかと苦笑したが、不思議と不快な気分はなかった。
自分が10にも満たない少女を好きになることはないと思うが、
あんなきれいな心の持ち主ならそれでもいいかと思いもした。




〜エッジが運命の人、リディアに出会うのは、それから1年後のことだった〜









 

   


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